キハ150形は最高速度110km/hで新型より速い!全27両の運用路線と0番台100番台の違い

キハ150形は最高速度110km/hで新型より速い!全27両の運用路線と0番台100番台の違いのアイキャッチ画像

北海道のローカル線に乗ろうとして、ホームに入ってきた見慣れない銀色の気動車。「これ、キハ40じゃないの?」と思った方、それがキハ150形かもしれません。結論から言うと、キハ150形は1993年から1995年にかけて27両だけ造られたJR北海道のローカル用気動車で、2026年8月現在も室蘭本線・日高本線・函館本線で現役です。しかも最高速度は110km/h。置き換え役として増えているH100形(100km/h)より、実は10km/h速いという逆転現象が起きています。

ただ、この27両はここ数年でどんどん活躍の場を減らしてきました。富良野線から消え、石北本線から消え、石勝線からも消えた。かと思えば2026年3月にはキハ40形の定期運用を引き継いで、逆に守備範囲を広げた区間もあります。ぶっちゃけ、いま一番「立ち位置が動いている」気動車です。この記事では、どこに行けば乗れるのか、0番台と100番台は何が違うのか、そしてこれからどうなるのかを、公式資料と最新の運用情報から整理してお伝えします。

✅ この記事でわかること

✓ キハ150形の全27両の内訳と基本スペック(最高速度110km/h)

✓ 0番台と100番台の見分け方(窓・冷房・帯の色)

✓ 2026年8月時点で乗れる路線と運賃(苫小牧〜鵡川800円ほか)

✓ 電気検測車への改造計画と、これからのゆくえ

目次

キハ150形とは?北海道のローカル線を支える27両の実力

キハ150形とは?北海道のローカル線を支える27両の実力の解説画像

27両しかいない「少数派」の気動車、まず結論から

キハ150形は、1993年から1995年にかけて富士重工業で計27両だけ製造された、JR北海道のローカル線用一般形気動車です。内訳は冷房付きの0番台が17両(車両番号1〜17)、冷房なしの100番台が10両(101〜110)。北海道向け気動車としてはキハ40形の150両超に比べると圧倒的に少数派で、だからこそ「見たことがない」という人が多い形式です。

なぜ27両で止まったのか。理由はシンプルで、キハ150形の製造が終わったあと、JR北海道は経営環境の悪化で新型ローカル車両の投入を長く止めていたからです。次の一般形気動車であるH100形が登場するのは2018年。実に23年の空白があります。この空白のせいで、キハ150形は「キハ40形とH100形のあいだに挟まれた中間世代」という独特のポジションに立つことになりました。

実用面で覚えておくと得なのは、キハ150形がワンマン運転に対応した2両組み合わせやすい単行車両だという点。1両でも2両でも3両でも走れるので、朝夕は2〜3両、日中は1両という運用がよくあります。混雑を避けたいなら、増結される朝夕より日中の単行が座りやすい……と思いきや、単行は席数が半分。狙うなら朝の増結列車の後ろ寄りの車両です。

🚃 鉄道トリビア
キハ150形を造った富士重工業は、いまのSUBARU。鉄道車両事業からは2003年に撤退しているため、キハ150形は「もう二度と増備されない形式」です。27両という数字は、今後増えることが構造的にありません。

「キハ150」という名前を分解するとわかること

形式名の「キハ」は、「キ」=気動車(内燃動車)、「ハ」=普通車を表す国鉄以来の記号です。つまりキハ150形は「エンジンで走る普通車」。もしグリーン車なら「キロ」、荷物車なら「キニ」になります。JR北海道はこの国鉄式の形式称号を長く使い続けてきましたが、H100形からは「H=Hokkaido」を頭に付ける独自の付番に切り替えました。キハ150形は、国鉄式ネーミングで造られた最後の世代のひとつです。

数字の「150」にも意味があります。国鉄の気動車では十の位・百の位でおおよその用途や性能を区別してきた歴史があり、キハ40形→キハ150形という飛び方は、単なる連番ではなく「別系列の新設計」であることを示しています。実際、キハ150形はキハ40形とは車体・エンジン・台車のすべてが別物です。

車両の形式記号のルールをもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事で「クハ」「モハ」「サハ」の違いまで整理しています。ホームで形式番号を読めるようになると、通勤電車を待つ時間が急に楽しくなります。

あわせて読みたい
「クハ」とは運転台つきでモーターなしの車両!由来は「くっつく」・モハやサハとの違いを全解説
通勤電車の側面に書かれた「クハE235-1」みたいな文字列、意味不明ですよね。ぶっちゃけ、あれは暗号でもなんでもなくて、読み方さえ知っていれば「この車両には運転…

なぜ1993年に新型が必要だったのか

1990年代前半の北海道のローカル線は、1977年から1982年に造られたキハ40形が主力でした。キハ40形は重い車体に非力なエンジンという組み合わせで、加速も最高速度も物足りない。都市近郊区間ではダイヤの足を引っ張る存在になっていました。そこでJR北海道が投入したのが、軽量化と高出力エンジンで走りを一新したキハ150形です。

効果は数字にはっきり出ました。キハ150形の最高速度は110km/h。キハ40形の登場時と比べると、同じ線路で走れるスピードの上限が上がり、優等列車との兼ね合いでダイヤを組みやすくなりました。ローカル線でも「特急のスジに邪魔されにくい普通列車」を作れるようになったわけです。

投入先として選ばれたのが富良野線でした。旭川と富良野を結ぶ観光路線で、観光需要と通学需要の両方がある。ここに冷房付きの新車を入れるのは、当時のJR北海道としてかなり思い切った投資でした。1993年に投入され、1995年の増備で富良野線用は10両体制になります。

20m車体・片開き2扉というローカル線では珍しい選択

キハ150形の車体は全長20,000mm、全幅2,925.4mmの普通鋼製で、片開きドアを2か所に備えます。同時期にJR東日本が造ったキハ100系が16m級・キハ110系が20m級だったことを考えると、キハ150形は堂々のフルサイズ。ローカル線用なのに都市部の通勤電車と同じ長さがあります。

幅の2,925.4mmという数字にも注目です。これは在来線車両としてはかなり広い部類で、車内の通路幅と座席幅の両方に余裕が生まれています。北海道は冬に厚着をした乗客が乗ってくるので、この幅の余裕は体感でわかるレベルです。

一方、ドアが片開き2か所というのは乗降にはやや不利な設計。ラッシュ時の都市部なら両開き3扉が普通ですが、キハ150形は「1駅あたりの乗降人数が少ないローカル線」を前提に、保温性(冬にドアから逃げる熱を減らす)を優先しています。北海道の車両らしい割り切りです。乗るときのコツとしては、ドアが2か所しかないぶん降車に時間がかかるので、無人駅で降りるなら1駅前には運転士側のドアへ移動しておくと安心です。

0番台と100番台、見分け方は「窓」と「帯の色」だけ

窓が開くかどうかが最大の分かれ目

結論を先に言うと、側面の窓が固定されているのが0番台、開くのが100番台です。0番台の17両は大型の固定窓を採用しており、外から見ると1枚のガラスが大きく抜けたスッキリした表情になります。対する100番台の10両は、内はめ式の開閉窓。窓の上部が内側に倒れるタイプで、外観では窓が小さく、桟が入って見えます。

なぜ差がついたのか。答えは冷房です。0番台は冷房装置を搭載しているので窓を開ける必要がなく、固定窓で気密性を上げられました。100番台は冷房を省略したため、夏場の車内温度対策として窓が開くようにする必要があった、というわけです。

ホームで見分けるときの実用的なコツは、窓ではなく屋根を見ること。0番台は屋根上に冷房装置(バス用を転用したN-AU150形)の四角い箱が載っています。100番台の屋根はのっぺりしていて何もありません。遠くからでも一目でわかるので、写真を撮る前の判別に使えます。

冷房がない100番台は横流ファン6基で勝負している

100番台は冷房を積まない代わりに、天井の横流ファン(シーリングファンの一種で、風を横方向に流す送風機)を0番台の4基から6基に増やしています。開けた窓から入る外気を、ファンで車内全体に行き渡らせる設計です。北海道の夏は本州ほど蒸し暑くならない、という前提に立った割り切りでした。

ただし近年の北海道の夏は事情が変わっています。真夏の日中に100番台に当たると、体感はなかなかのもの。乗る側の対策としては、窓側の席を選んで自分で窓を開けるのが一番効きます。開閉窓は内はめ式なので、上部のツマミを引いて内側に倒す方式。開けたら降りるときに閉めておくのがマナーです。

もうひとつ、100番台は車体側面の構体(側構)の厚さを0番台の60mmから100mmに増強しています。冷房装置ぶんの重量が浮いたのを、断熱と強度に振り分けた格好です。冬の保温性という意味では、100番台のほうが理にかなった構造になっています。

💡 ヒント

100番台は現在10両すべてが苫小牧運転所に配置されています。つまり冷房なし車に当たる可能性があるのは室蘭本線(苫小牧〜岩見沢)と日高本線。函館地区で走っているのは冷房付きの0番台なので、夏の函館本線では冷房を気にしなくて大丈夫です。

ラベンダー色の帯は富良野線時代の名残

キハ150形の塗装は、製造ロットで3パターンあります。1次車(1〜10)はライトグレー地にラベンダー色の太帯+ライトグリーンの細帯で、客用扉も太帯と同じラベンダー色。これは富良野線のラベンダー畑をイメージした専用カラーで、ほかのキハ150形とは明らかに違う見た目です。

2次車にあたる100番台と、3次車(11〜17)はライトグレー地にライトグリーンの太帯+青の細帯。こちらがいわば標準色です。同じ形式なのに帯の色で出身地がわかる、というのがキハ150形の面白いところで、いまでは富良野線を走らなくなったラベンダー色の車両が苫小牧や函館で見られます。

撮影目当ての方に伝えておくと、ラベンダー色の1次車は現在、苫小牧運転所に2両、函館運輸所に数両が在籍。苫小牧の2両は主に日高本線で使われますが、室蘭本線の岩見沢まで足を延ばすこともあり、2026年4月24日には岩見沢での運用が確認されています。狙って撮るなら、当日の運用情報を確認してから動くのが確実です。

定員117名と115名、たった2名差が生まれた理由

0番台の定員は117名(座席49+立席68)、100番台は115名(座席49+立席66)。座席数は同じ49席で、立席だけが2名分違います。この差は、100番台が側構を40mm厚くしたぶん、車内の床面積がわずかに減ったことによるものです。

座席49席というのは、20m級の車両としてはかなり少なめの数字です。理由は座席配置にあります。キハ150形は車内中央部をクロスシート、扉付近をロングシートとしたセミクロスシートですが、クロスシートの片側を1列にして通路幅を広く取っているのが特徴。つまり通路をはさんで「2人掛け」と「1人掛け」が向き合う、1+2列配置です。

この設計は乗降のしやすさを優先した結果で、大きな荷物を持った旅行者やスキー客がすれ違えるだけの通路幅が確保されています。座る側から見れば、1人掛け側は隣に人が来ない特等席。ボックスの1人掛け席が空いていたら迷わず座るのが正解です。

比較項目 0番台(17両) 100番台(10両)
冷房 あり(N-AU150形) なし(横流ファン6基)
側面窓 大型固定窓 内はめ式開閉窓
定員 117名(座49+立68) 115名(座49+立66)
側構の厚さ 60mm 100mm
帯の色 1次車はラベンダー/3次車は緑 ライトグリーン太帯+青細帯
現在の配置 函館・苫小牧・旭川 全10両が苫小牧

※ガタンゴトン研究所調べ(2026年8月時点の公表資料・運用情報より作成)

最高速度110km/hは新型より速い?スペックを数字で比較

最高速度110km/hは新型より速い?スペックを数字で比較の解説画像

110km/h対100km/h、置き換える側より速いという逆転

キハ150形の最高速度は110km/h。これに対し、キハ150形を各地で置き換えているH100形(愛称DECMO)の最高速度は100km/hです。つまり、新しい車両のほうが10km/h遅い。知っておくと少しだけ得意になれる事実です。

なぜこんなことが起きるのか。H100形は電気式気動車で、エンジンで発電した電力をVVVFインバータ経由でモーターに送る方式。発進加速に強く、駅間の短いローカル線ではむしろ所要時間が縮まります。最高速度の10km/hよりも、加速性能とメンテナンス性を取った設計判断です。

実用面での違いは、駅間の長い区間で出ます。北海道のローカル線は10km近く駅が離れている区間も珍しくなく、そこでは最高速度がそのまま所要時間に効いてくる。キハ150形が本気を出せるのは室蘭本線のような直線が長い区間で、乗っていると気動車とは思えない伸びのある走りを見せます。エンジン音を聞きたいなら、車端のエンジン直上あたりの席がおすすめです。

450PSのコマツエンジンが変えたもの

心臓部はコマツ製N-KDMF15HZ形ディーゼルエンジン。直列6気筒に過給器(ターボ)と吸気冷却器(インタークーラー)を組み合わせ、450PS/2,000rpmを発生します。1両にこの1基を搭載しているので、20m級の1両あたり450PSという、ローカル線用としてはかなり贅沢な出力配分です。

面白いのは、H100形のエンジン(コマツSA6D140HE-3形)も出力は331kW=約450PSでほぼ同等だという点。エンジンのパワーは30年経ってもほぼ変わっていないのに、H100形はそれを発電に使い、キハ150形は液体変速機を介して直接車輪を回している。この「伝え方」の違いが両者の性格を分けています。

ディーゼルで走る鉄道車両のしくみをもう少し知りたい方は、こちらの記事でディーゼル機関車の自家発電のしくみを解説しています。気動車とディーゼル機関車の違いがわかると、北海道の貨物列車の見え方も変わります。

あわせて読みたい
ディーゼル機関車は架線ゼロでも走る自家発電の列車|現役4形式と会える場所を全解説
「ディーゼル機関車って、結局なにが電車と違うの?」——ひらがなで「ディーゼル きかんしゃ」と検索した人が知りたいのは、たぶんそこですよね。結論から言うと、ディー…

「変速1段・直結2段」って何のこと?

キハ150形の変速機はN-DW14C形で、「変速1段・直結2段」という方式です。これは自動車のオートマチックに近い仕組みで、発進時はトルクコンバータ(液体変速機)を使い、速度が乗ったらエンジンと車輪を直結に切り替える、という2段構えになっています。

乗っていると、この切り替わりがはっきり体感できます。発進してしばらくするとエンジン音が「ウォーン」と一段落ち、少ししてまた落ちる。この2回の音の変化が、直結1段・直結2段への切り替えポイントです。気動車らしさを一番味わえる瞬間なので、次に乗ったら耳を澄ませてみてください。

台車はボルスタレス式で、駆動側がN-DT150形、従動側がN-TR150形。ボルスタレス台車は枕ばりを省いた軽量構造で、曲線通過時の追従性が良いのが特徴です。北海道のローカル線は緩やかなカーブが延々と続く区間が多く、この台車との相性は悪くありません。

それでも置き換えが進んでいる本当の理由

速くて、パワーもあって、車内も広い。それなのにキハ150形の活躍の場が減っているのは、バリアフリー対応の差が大きな理由です。キハ150形のトイレは循環式汚物処理装置付きのFRPユニット式で、和式。車椅子で使うことはできません。

一方のH100形は、多目的トイレ(電動車椅子対応の洋式)を備え、車椅子スペースと扉開閉表示灯も設置しています。定員は99名(座席36+立席63)とキハ150形より少ないのですが、バリアフリー基準を満たすための設計を優先した結果です。

もうひとつは保守の効率。H100形は2018年から2024年にかけて99両が製造され、JR北海道のローカル線用気動車を1形式に統一する流れを作りました。27両しかいない形式を維持するより、99両の同一形式でまとめたほうが部品も整備も効率的——これは鉄道会社の経営としてはごく自然な判断です。旅行で行くなら、和式トイレが苦手な方はキハ150形の運用列車を避けるという選択肢もあります。

どこで乗れる?2026年に会える路線と運賃をチェック

室蘭本線 苫小牧〜岩見沢が現在の本命

2026年8月時点でキハ150形に会える確率が最も高いのは、室蘭本線の苫小牧駅〜岩見沢駅間です。苫小牧運転所には0番台1次車2両(9・10)と100番台10両全車(101〜110)の計12両が配置されており、この区間の普通列車の主力になっています。

この区間が「本命」になった決定打が、2026年3月14日のダイヤ改正です。この改正でJR北海道はキハ40形の定期運行を終了しました。最終期のキハ40形の定期運用は室蘭本線 苫小牧〜岩見沢間と日高本線に限られており、その穴を埋めるため函館運輸所から苫小牧へキハ150形0番台1次車2両が転属しています。つまりキハ150形は、この区間では「減った側」ではなく「増えた側」なのです。

時刻を調べるときは、JR北海道公式の時刻表ページが確実です。室蘭本線(岩見沢―苫小牧)上り時刻表|JR北海道公式で最新のダイヤを確認できます。本数は1日十数往復程度と決して多くないので、訪問前に必ず時刻表を確認してから動くのが鉄則です。

📍 苫小牧駅(JR北海道)
所在地 北海道苫小牧市表町
路線 室蘭本線・日高本線
キハ150形 苫小牧運転所に12両配置(0番台2両・100番台10両)
公式サイト JR北海道 おもな駅一覧

日高本線は苫小牧〜鵡川30.5kmで片道800円

もうひとつの確実なフィールドが日高本線です。日高本線は2021年に鵡川〜様似間が廃止され、現在は苫小牧駅〜鵡川駅の1区間だけが残っています。営業キロは30.5km、普通列車の所要時間は約30分、片道運賃は大人800円・小児400円(往復1,600円)です。

短い路線ですが、キハ150形に狙って乗るには最適です。全区間が単線非電化で、走るのは基本的にキハ150形のみ。乗り換えなしの1本で完結するので、朝に苫小牧を出て鵡川で折り返せば、1時間ちょっとで往復できます。太平洋沿いを走る区間もあり、車窓も悪くありません。

ダイヤは1日数往復と少なく、朝夕に集中しています。日中に大きく間が空くので、鵡川で降りて次の列車まで数時間、という事態は普通に起こります。日高本線(苫小牧―鵡川)下り時刻表|JR北海道公式で往復の組み合わせを先に決めてから出発してください。

函館地区の函館本線でも会える

3つめが函館運輸所配置分による函館地区の運用です。函館〜森間などで走っており、2025年3月15日のダイヤ改正で函館地区のキハ150形の運用範囲が拡大しました。函館地区に配置されているのは0番台(1次車・3次車)なので、冷房付きの車両に当たります

参考までに、函館〜長万部間を普通列車だけで乗り通す場合の運賃は片道2,530円、営業キロ112.3km、所要時間は約2時間28分です(特急利用なら4,890円)。長万部までは途中で乗り継ぎが必要なうえ、キハ150形以外の車両が入る列車もあるので、キハ150形目当てなら函館〜森の区間に絞るほうが現実的です。

函館地区で狙うコツは、早朝と夜の列車。函館運輸所の車両は朝に函館へ送り込まれ、夜に戻る運用が組まれることが多く、この時間帯にホームで待っていると出会える確率が上がります。函館駅は北海道新幹線の新函館北斗駅から在来線で約20分の位置にあるので、新幹線で北海道入りしたその日のうちに組み込めます。

🚆 キハ150形に会える路線ガイド(2026年8月時点)

室蘭本線 苫小牧〜岩見沢 遭遇率もっとも高い。0番台・100番台の両方

日高本線 苫小牧〜鵡川 全列車がキハ150形。片道800円・30分

函館本線 函館〜森ほか 函館運輸所の0番台。冷房付き確定

室蘭本線 苫小牧〜糸井 間合い運用でわずかに乗り入れ

「糸井まで」という間合い運用の穴を知っておく

意外と知られていないのが、苫小牧配置のキハ150形が苫小牧駅より西(室蘭方)の糸井駅まで乗り入れる間合い運用があることです。間合い運用とは、車両基地への出入りなどのついでに営業列車として走らせる運用のこと。本数はごくわずかですが、時刻表上は普通の列車として載っています。

この区間を知っていると何が得かというと、苫小牧駅で待つより糸井駅で待ったほうが、人が少なく撮影しやすいという実利があります。苫小牧駅は特急も止まる主要駅で人が多く、ホームでの撮影は気を使いますが、糸井駅は静かです。

ただし本数の少なさは覚悟が必要です。糸井まで来る便は限られているので、時刻表で狙う列車を決めずに行くと空振りします。JR北海道公式の時刻表で「苫小牧発 室蘭・函館方面」を開き、糸井止まりの列車があるかを事前に確認してから向かってください。

乗る前に知りたい車内設備とワンマン運転の降り方

トイレは和式、長時間乗るなら知っておきたい

キハ150形のトイレは循環式汚物処理装置付きのFRPユニット式和式トイレです。洋式ではありません。1993年当時の一般形気動車としては標準的な仕様ですが、2026年の感覚だと戸惑う人もいると思います。

循環式というのは、処理した水を再利用して洗浄に使う方式のこと。北海道の車両で長く使われてきた仕組みで、線路上に排出しないため衛生的です。ただし洗面設備は簡素なので、ウェットティッシュを持っていると安心です。

実用的な話をすると、日高本線の苫小牧〜鵡川は30分なのでまず問題になりません。気をつけたいのは室蘭本線の苫小牧〜岩見沢を乗り通す場合で、こちらは1時間半前後かかる区間。しかも途中には無人駅が並び、駅のトイレをあてにしにくい。乗る前に苫小牧駅か岩見沢駅で済ませておくのが確実です。

ワンマン運転の降り方は「整理券」と「一番前のドア」

キハ150形が走る区間の多くはワンマン運転です。車掌が乗っていないので、降りるときの手順が都市部の電車と違います。無人駅で降りる場合、原則として乗車時に整理券を取り、降車時は一番前のドアから運賃箱に運賃と整理券を入れて降りるという流れになります。

やりがちな失敗が、後ろのドアの前で待ってしまうこと。無人駅では前のドアしか開かないことが多く、車内をゆっくり移動する時間が必要です。特に2〜3両編成のときは先頭車両まで歩かないといけないので、降りる駅の1つ前に着いたら移動を始めましょう。

ワンマン運転の仕組みそのものを詳しく知っておくと、北海道以外のローカル線でも迷わなくなります。運転士1人でどうやって安全を確保しているのか、こちらの記事で整理しています。

あわせて読みたい
ワンマン運転とは?運転士1人で走るしくみと乗り方を全解説|2026年は山手線も対象に
駅のホームで電車を待っていたら「この電車はワンマン運転です」というアナウンス。なんとなく聞き流しているけれど、「ワンマン運転って結局なに?」「乗り方が普通の電車…
STEP 1
無人駅から乗るときは後ろのドアから乗り、整理券を取る
STEP 2
降りる駅の1つ手前で先頭車両の前ドアへ移動する
完了
運賃箱に整理券と運賃を入れて前ドアから降車

1+2列クロスシート、座るならどこが正解か

結論から言うと、クロスシート区画の「1人掛け」側が最も快適です。キハ150形は車内中央部をクロスシート、扉付近をロングシートとしたセミクロスシートですが、クロスシートは片側だけ1列という珍しい配置。この1人掛け側は隣に人が来ないうえ、通路が広いので足も伸ばしやすい。

景色重視なら、路線ごとに狙う向きを変えるのがコツです。日高本線の苫小牧発鵡川行きなら、太平洋側は進行方向右手。室蘭本線の苫小牧発岩見沢行きなら、内陸の農地の広がりが見えるのは左右どちらもですが、朝の便は東向きの窓が逆光になるので、写真を撮るなら反対側を選びます。

混雑を避けたいなら、2両以上のときは後ろ寄りの車両。ワンマン運転では前のドアに人が集まるので、後ろ車両のほうが空いています。ただし前述のとおり無人駅で降りるときは先頭まで歩く必要があるので、有人駅で降りる場合限定のワザです。

よくある失敗:真夏に100番台へ乗って驚く

実際によくあるのが、「JR北海道の車両だから冷房があるだろう」と思い込んで100番台に乗ってしまうケースです。100番台10両は冷房を搭載していません。窓を開ければ風は入りますが、駅に停車している間は無風になります。

回避策はシンプルで、ホームに列車が入ってきたら屋根を見て、四角い箱が載っていなければ100番台。乗る前にわかります。どうしても冷房が必要なら、同じ苫小牧発でも0番台(1次車)が入る便を運用情報で確認して選ぶことになります。

もうひとつのよくある誤解が「キハ150形=キハ40形」。見た目のイメージで混同されがちですが、両者はまったく別物です。キハ40形はJR北海道では2026年3月14日のダイヤ改正で定期運行を終了しており、いま定期列車で会えるのはキハ150形のほう。「北海道でキハ40に乗ってきた」と言う人がいたら、それはキハ150形だった可能性が高いです。

⚠️ 注意
キハ150形が走るのは無人駅の多い区間です。ICカード(Kitaca)のエリア外の駅が大半なので、Suicaなどの交通系ICカードは使えません。整理券方式の現金精算になるため、小銭を用意しておいてください。運賃箱に両替機はありますが、高額紙幣は使えないことがあります。

かつては富良野線の主役だった|置き換えの10年史

2020年、山線から始まった置き換え

キハ150形の縮小が始まったのは2020年3月14日。この日、函館本線の山線(長万部〜小樽)にH100形が投入され、それまで山線を担当していたキハ150形3次車(11〜17)が旭川へ転属しました。H100形の営業運転開始日そのものであり、キハ150形にとっては「置き換えられる側」になった第一日目でもあります。

山線が最初に選ばれた理由は、勾配の厳しい区間で電気式気動車の加速性能を試すのに適していたこと、そして北海道新幹線の札幌延伸を控えた区間だったことが背景にあります。皮肉なことに、この山線自体が2030年度末の新幹線札幌延伸に伴い廃止されることが事実上決まっています。

翌2021年3月13日には苫小牧・旭川にもH100形が投入され、キハ150形の守備範囲はさらに削られていきました。この頃から「キハ150形はあと何年か」という声が鉄道ファンのあいだで出はじめます。

2023年3月、富良野線から姿を消した日

キハ150形にとって最大の転機が2023年3月18日のダイヤ改正でした。この日、富良野線の全定期列車38本がH100形に置き換えられ、1993年の登場以来30年にわたって主役を務めてきた富良野線からキハ150形が撤退します。

富良野線はキハ150形が最初に投入された路線であり、ラベンダー色の専用塗装まで用意された「ホーム」でした。その塗装をまとったまま、車両は北海道各地へ散っていきます。いま苫小牧や函館でラベンダー帯の車両を見かけたら、それは富良野線から流れてきた1次車ということになります。

撮影・乗車の観点で言うと、富良野線のラベンダー畑を背景にキハ150形が走る絵は、2023年3月以降は撮れません。かつての定番構図が失われた一方で、ラベンダー色の車両が海沿いの日高本線を走るという、当時はあり得なかった光景が今は見られます。

2024〜2025年、石北本線・石勝線からも撤退

置き換えはさらに進みます。2024年3月16日には石北本線の全線・全列車がH100形化され、キハ150形1次車・3次車の運用が終了。2024年4月には留萌本線の一部区間(石狩沼田〜留萌)が廃止され、ここでもキハ150形の活躍の場が消えました。

そして2025年3月15日のダイヤ改正で、石勝線の普通列車がすべてH100形に置き換えられ、それまで残っていたキハ150形とキハ40形が姿を消します。この改正では同時に、函館地区のキハ150形の運用が拡大されました。減る一方に見えて、実は函館では増えていたのがこの年の特徴です。

この時期に旭川運転所に残った3次車2両は、定期運用を持たない予備的な存在になりました。定期列車で会うのは難しく、臨時列車や車両の入れ替えのタイミングを狙うしかありません。

2026年3月、キハ40形の引退で立場が変わった

そして直近の大きな動きが2026年3月14日のダイヤ改正です。この改正でJR北海道はキハ40形の定期運行を終了しました。1977年から1982年に全国で888両が製造され、北海道向けは酷寒地仕様とされた国鉄形気動車が、49年の歴史に区切りをつけたことになります(2025年12月12日 北海道新聞報道)。

その穴を埋めたのがキハ150形でした。函館運輸所から苫小牧運転所へ0番台1次車2両が転属し、日高本線と室蘭本線に投入されています。置き換えられ続けてきたキハ150形が、初めて「置き換える側」に回ったのがこの改正です。

結果として、2026年8月現在のJR北海道のローカル線用気動車は、H100形99両とキハ150形27両、そして留萌本線などに残るキハ54形という布陣。キハ150形は、国鉄形が去ったあとの北海道で「最も古い量産気動車」という立場になりました

📝 キハ150形 撤退・転機の年表

  • 1993〜1995年:富士重工業で27両を製造、富良野線に投入
  • 2020年3月14日:山線にH100形投入、3次車が旭川へ転属
  • 2021年3月13日:苫小牧・旭川にH100形投入
  • 2023年3月18日:富良野線の全定期列車38本がH100形化
  • 2024年3月16日:石北本線が全線H100形化
  • 2025年3月15日:石勝線の普通列車が全てH100形化/函館地区の運用拡大
  • 2026年3月14日:キハ40形の定期運行終了、キハ150形2両が苫小牧へ転属

これからどうなる?検測車への改造と山線廃止のゆくえ

電気検測車への改造という第二の人生

キハ150形の一部には、電気検測車への改造という計画があります。JR北海道が2024年3月29日に発表したJR北海道グループ中期経営計画2026(公式PDF)で示されたもので、電気検測機能を持つ総合検測車を導入し、その動力車としてキハ150形を種車に改造する、という内容です。

検測の対象は、電車線(架線)のほか、レールボンド、踏切の警報音と遮断状態、ATS地上子。これらを画像モニタリングで検査するという、かなり現代的な仕様が予定されています。人が目視で確認していた設備点検を、走りながら記録できるようにする狙いです。

導入時期は当初2025年度の予定でしたが、1年延期されて2026年度導入予定となっています。ペアを組む軌道検測車マヤ35形については、2026年3月1日に苗穂工場で改造が行われ、屋根上に検測用パンタグラフ等が設置されました。キハ150形側の改造は詳細を検討中という状況です。

山線廃止で、北海道の地図はこう変わる

キハ150形の未来を考えるうえで外せないのが、函館本線 長万部〜小樽間140.2kmの廃止です。北海道新幹線の札幌延伸(2030年度末開業予定)に伴い、沿線9市町がバス転換に同意し、2022年3月の協議会で廃止が事実上確定しました。

この区間は2020年3月にH100形へ置き換えられており、キハ150形はすでに走っていません。それでも影響は間接的に及びます。山線廃止でH100形に余剰が出れば、その車両が他線区へ転用され、キハ150形の残る運用がさらに削られる可能性があるからです。

逆に言えば、いまキハ150形が守っている室蘭本線・日高本線・函館地区は、2030年前後まではキハ150形が担う可能性が高い。「あと数年で消える」と焦る段階ではないけれど、10年単位で見れば安泰でもない——というのが2026年8月時点の現実的な見立てです。

🎯 裏ワザ

キハ150形を「確実に」1日で複数回見たいなら、苫小牧駅を拠点にするのが効率的です。室蘭本線と日高本線の両方がここから出ており、車両基地(苫小牧運転所)も隣接。ホームで待っているだけで0番台と100番台の両方に遭遇できる可能性があります。新千歳空港から苫小牧までは電車で40分程度なので、飛行機で降りたその足で組み込めます。

2代目「むかわ竜ラッピング」は撮っておきたい1両

キハ150形のなかで1両だけ特別な存在が、キハ150-110です。この車両には2代目の「むかわ竜ラッピング」が施されています。むかわ竜(カムイサウルス)は、日高本線の終点・鵡川があるむかわ町で発見された恐竜化石で、日本国内で見つかった恐竜としては最大級のもの。地元をPRするラッピング車両です。

この110号車、長らく日高本線で運用されていましたが、2026年7月24日に室蘭本線(岩見沢〜苫小牧)の運用に就いたことが確認されています。しばらくは室蘭本線での運用が続くとみられており、狙うなら苫小牧〜岩見沢間ということになります。

ただし110号車は100番台なので冷房はありません。夏に長時間乗るなら覚悟が必要です。撮影目的なら、ラッピングの側面が順光になる時間帯を選ぶのがコツ。室蘭本線は南北方向に走る区間が多いので、午前は東側、午後は西側から狙うときれいに撮れます。

会いに行くタイミングはいつがベストか

結論を言うと、春(5〜6月)か秋(9〜10月)の平日が最適です。理由は3つあります。1つめは気温。100番台に当たっても冷房なしが苦にならない季節です。2つめは日照時間で、朝夕の運用が明るいうちに撮れます。3つめは混雑で、観光シーズンを外すと車内が空いていて撮影も乗車も落ち着いてできます。

逆に避けたいのが真冬です。北海道のローカル線は大雪による運休や間引き運転が起こりやすく、せっかく出向いても列車が来ない可能性があります。運休情報はJR北海道の公式サイトで随時発表されるので、冬に行くなら当日朝の確認が必須です。

予算面も押さえておきましょう。日高本線の苫小牧〜鵡川往復が1,600円、室蘭本線の苫小牧〜岩見沢を往復するとさらにかかります。JR北海道は2025年4月1日から初乗り運賃を200円から210円に改定しており、以前の感覚より少し高くなっています。また、全JR共通で往復乗車券と往復割引が2026年3月14日をもって廃止されたため、往復分は片道乗車券2枚を買う形になります。

まとめ:キハ150形に会いに行く前に押さえておくこと

🚃 この記事の結論

キハ150形は全27両が現役で、室蘭本線・日高本線・函館地区で乗れます。狙うなら苫小牧駅を拠点にするのが最も確実です。

✅ 要点チェック
  • 全27両:0番台17両+100番台10両
  • 最高速度110km/h:H100形の100km/hより速い
  • 見分け方:屋根に冷房箱があれば0番台
  • 日高本線:苫小牧〜鵡川30.5km・片道800円
  • 拠点は苫小牧:2路線+車両基地が集中
  • 2026年度:一部が電気検測車へ改造予定

キハ150形は、1993年から1995年に富士重工業で27両だけ造られたJR北海道のローカル線用気動車です。0番台17両は冷房付きで大型固定窓、100番台10両は冷房なしで開閉窓という違いがあり、屋根の冷房装置の有無で一目で見分けられます。最高速度は110km/hで、置き換え役のH100形(100km/h)より速いという逆転が起きているのも、この形式の面白いところです。

2026年8月時点で乗れるのは、室蘭本線の苫小牧〜岩見沢、日高本線の苫小牧〜鵡川、そして函館地区の函館本線。特に日高本線は全列車がキハ150形で、片道30.5km・800円・約30分と手軽に往復できます。2026年3月14日のダイヤ改正でキハ40形の定期運行が終了し、その穴を埋める形でキハ150形2両が苫小牧へ転属したことで、この2路線での存在感はむしろ増しました。

一方で、長期的には安泰とは言えません。JR北海道グループ中期経営計画2026では、キハ150形を種車とした電気検測車の改造が2026年度導入予定として示されています。さらに2030年度末の北海道新幹線札幌延伸に伴う函館本線 長万部〜小樽間140.2kmの廃止でH100形に余剰が出れば、キハ150形の運用がさらに削られる可能性があります。

まずやることはシンプルです。JR北海道公式の日高本線時刻表を開いて、苫小牧発の列車と鵡川からの折り返しの組み合わせを決めてみてください。本数が少ないので、往復の時刻さえ決まれば計画の8割は終わりです。あとは苫小牧駅のホームで、屋根に箱が載っているかどうかを確かめながら列車を待つだけ。ラベンダー色の帯が入った1次車に当たったら、それは富良野線から流れてきた1両です。

※運賃・ダイヤ・車両の運用は改定や車両交換により変わることがあります。おでかけの前にJR北海道公式サイトで最新情報をご確認ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

新幹線の窓側席と駅弁をこよなく愛する鉄道ファン。乗り換え案内や座席選びのコツ、お得なきっぷ情報など、鉄道旅をもっと快適にするための実用的な情報を中心に発信しています。交通手段の比較や空港アクセスガイドも得意分野です。

コメント

コメントする

目次