「117系って今でも乗れるの?」と検索してここにたどり着いた方、結論から言います。普通列車としての117系はすでに全滅していて、2026年8月現在、乗れるのはJR西日本の観光列車「WEST EXPRESS 銀河」だけです。京都地区は2023年3月のダイヤ改正で、最後の砦だった岡山地区は2023年7月21日で定期運用が終わりました。翌22日から走り始めたのが、新型の227系500番台「Urara」です。
でも、悲観する話ばかりではありません。銀河は117系を6両まるごと改造した列車で、しかも乗車券+特急券の合計8,670円から乗れるコースがあります。豪華寝台列車としては破格です。さらに京都鉄道博物館にはトップナンバーのクハ117形1号車が保存されていて、いつでも会いに行けます。
この記事では、117系がどんな電車だったのか、なぜ引退したのか、そして今どこで会えるのかを、JR西日本や京都鉄道博物館の公式情報をもとにまとめました。
✅ この記事でわかること
✓ 117系の基本スペックと、国鉄が本気を出した理由
✓ 定期運用が終わった正確な日付と、引退した3つの理由
✓ 今も乗れる「WEST EXPRESS 銀河」の号車別座席と料金
✓ 0番台と100番台の見分け方、保存車に会える場所
117系ってどんな電車?2扉・転換クロスシートで216両が作られた国鉄の意欲作

製造は1979年から1986年まで、全部で216両
117系は、日本国有鉄道(国鉄)が製造した直流近郊形電車です。1979年から1986年にかけて216両が製造されました。作ったのは川崎重工業・近畿車輛・日本車輌製造・東急車輛製造の4社。1979年に落成し、営業運転が始まったのは1980年1月からです。
「近郊形」というのは、通勤電車と長距離列車の中間にあたるカテゴリーのこと。ところが117系は、その枠に収まらない特別な設計で登場しました。国鉄末期の車両としては珍しく「サービスで私鉄に勝つ」という明確な目的を持って作られた電車だったんです。
216両というのは、国鉄形としては決して多い数ではありません。同時期の103系が3,000両超、113系が2,900両超と作られたことを考えると、117系はかなり限定的な投入だったことがわかります。だからこそ、乗ったことのある人にとって印象が強く残る車両でもあります。
最高速度110km/h、JR西日本の車両は115km/hまで出せた
117系の最高運転速度は110km/h。JR西日本に承継された車両はのちに115km/hまで引き上げられました。車体は全長20m級・全幅約2.95mの標準的なサイズです。
この115km/hという数字がポイントで、京阪神の新快速がスピード競争を繰り広げていた時代、117系はその主力として東海道・山陽本線を疾走していました。今の新快速は223系・225系が130km/hで走っていますから、40年でずいぶん速くなったものです。
ちなみに扉は片側2か所の両開き扉で、半自動扱いにも対応していました。半自動というのは、寒い地域や本数の少ない駅で「開ける人がボタンを押す」あの方式のこと。冬の京都や滋賀で車内の暖気を逃がさないための機能で、湖西線や草津線での運用にはぴったりでした。
つり革が1本もない、という思い切った設計
117系の最大の特徴が、これ。座席は転換クロスシート(一部固定)で、つり革が一切設けられていませんでした。立って乗ることを想定していない、というメッセージそのものです。
転換クロスシートというのは、背もたれをパタンと倒して進行方向を切り替えられる座席のこと。それまでの国鉄近郊形電車はボックスシートかロングシートが当たり前でしたから、117系の登場はかなりの衝撃でした。内装も木目調の化粧板を使い、国鉄の電車とは思えない上質さだったと語り継がれています。
この「つり革なし」という割り切りが、後年の引退につながる伏線にもなります。詳しくは後の見出しで触れますが、通勤ラッシュには構造的に向かない電車だったんですね。
塗装はクリーム色に茶色の細帯、通称「国鉄色」
デビュー時の塗装は、クリーム1号を基本に、窓下へぶどう色2号の細帯を入れた構成でした。この配色は、かつて京阪神を走った急行電車「京阪神快速」の流れを汲むもので、鉄道ファンからは「国鉄色」「快速色」と呼ばれます。
後年、JR西日本の地域別カラー化によって、京都地区の車両は「京都地域色」と呼ばれる緑一色に、岡山地区の車両は黄色一色に塗り替えられました。緑の117系は「抹茶色」というあだ名で親しまれ、湖西線や草津線の風景に溶け込んでいたのを覚えている方も多いはずです。
形式記号の話をすると、先頭車は「クハ117形」、中間電動車は「モハ117形・モハ116形」です。「クハ」の“ク”は運転台つき、“ハ”は普通車を意味します。この記号の読み方を知っておくと、117系の編成表がぐっと読みやすくなります。

| 項目 | 117系のスペック |
|---|---|
| 製造年 | 1979年〜1986年 |
| 製造両数 | 216両 |
| 製造メーカー | 川崎重工業/近畿車輛/日本車輌製造/東急車輛製造 |
| 最高運転速度 | 110km/h(JR西日本車は115km/h) |
| 車体 | 全長20m級・全幅約2.95m |
| 扉 | 片側2か所・両開き(半自動対応) |
| 座席 | 転換クロスシート(一部固定)・つり革なし |
※ガタンゴトン研究所調べ(出典:各種公開資料をもとに整理)
なぜ国鉄は「私鉄に勝つ電車」を作ったのか|新快速誕生の裏側
それまでの新快速は、新幹線で余った急行形車両だった
117系が生まれた背景を知ると、この電車がぐっと面白くなります。京阪神地区の新快速には、1972年の山陽新幹線・岡山開業で余剰となった急行形車両153系が使われていました。つまり「新幹線ができて仕事がなくなった急行の電車を、そのまま新快速に転用していた」わけです。
153系は急行形ですからボックスシートで、車内設備としては悪くありません。ただ、あくまで“お下がり”。しかも老朽化が進んでいて、いつまでも使い続けられる状態ではありませんでした。
そこで国鉄が新快速専用に新造したのが117系です。新快速のために新しく作られた最初の車両という肩書きは、117系だけが持つものです。
相手は阪急と京阪、負けたら乗客が丸ごと逃げる
国鉄が本気を出した理由はシンプルで、並行する私鉄との競争に負け続けていたからです。京都〜大阪〜神戸というルートは、阪急電鉄と京阪電気鉄道が同じ区間を走っています。私鉄各社は転換クロスシートの特急車両を投入し、快適さでは国鉄を大きく引き離していました。
これに対抗するため、117系には転換クロスシートや木目調の化粧板といった、従来の国鉄近郊電車を大きく超える設備が奢られました。運賃だけでは勝負にならないなら、乗り心地で勝つ——という発想です。
結果として117系は乗客に支持され、国鉄末期の暗い話題が多かった時代に数少ない「成功例」として語られる存在になりました。
「シティライナー」という愛称もあった
117系には「シティライナー」という愛称がつけられていました。国鉄の近郊形電車に愛称が付くこと自体がかなり異例で、それだけ国鉄がこの車両に力を入れていた証拠でもあります。ちなみに岡山地区で走っていた快速には「サンライナー」という列車名が使われ、117系の代名詞になっていました。
愛称がついた電車は、乗客の記憶に残ります。「シティライナー」も「サンライナー」も、117系という形式名を知らない人でも聞き覚えがある言葉でした。国鉄・JRがこの車両をどう位置づけていたかが、名前から伝わってきます。
ちなみに国鉄分割民営化のとき、117系はJR東海に72両、JR西日本に144両が引き継がれました。東海道本線を東西で分け合った格好です。JR東海の117系は名古屋地区の東海道本線で快速などに使われましたが、こちらは早い段階で姿を消しています。
定期運用はもう終わっている|最後に走った日と場所を時系列で

JR東海の117系は2013年3月16日に定期運用から離脱
まず消えたのがJR東海の117系でした。2013年3月16日のダイヤ改正をもって全車両が定期運用から離脱し、同年12月にはほとんどが廃車になっています。
JR東海は313系という汎用性の高い新型車両を大量投入する方針を取っていて、国鉄形車両の置き換えを他社より早いペースで進めました。名古屋地区の東海道本線で117系の姿を見られたのは、2013年の春までということになります。
つまり、東海地方で117系に乗ったことがある人は、もう13年以上前の記憶ということです。「最近見かけないな」ではなく、とっくに終わっていた、が正解でした。
JR西日本では路線を転々としながら生き延びた
一方のJR西日本では、117系は各地を渡り歩きながら長く使われました。時系列で追うとこうなります。
- 1980年1月:京阪神地区の新快速で営業運転開始
- 1990年:福知山線で運用開始(2005年6月に撤退)
- 1992年:岡山地区で快速「サンライナー」として運用開始
- 2000年:和歌山線で運用開始(2019年3月に終了)
- 2005年:下関地区で運用開始
京阪神の新快速の座は221系・223系に譲りましたが、117系はそこで終わりませんでした。新快速の第一線を退いたあと、ローカル線区の主力として第二の人生を送っていたわけです。転換クロスシートの車両は地方路線でも喜ばれますから、理にかなった配置転換でした。
快速「サンライナー」は2022年3月11日が最終運転
117系の代表的な運用だった快速「サンライナー」は、2022年3月12日のダイヤ改正で全列車が廃止されました。最終運転は前日の3月11日で、この日も117系が充当されています。
サンライナーは山陽本線の岡山〜福山間を結ぶ快速で、途中の倉敷・新倉敷・笠岡・東福山などに停車していました。瀬戸内の景色を眺めながら転換クロスシートに座れる列車として、地元の通勤・通学客からも観光客からも愛されていた存在です。
廃止の背景には、新型コロナウイルスの影響による利用者減と、117系そのものの老朽化があったとされています。快速という種別がどういう位置づけなのかを知っておくと、この手のダイヤ改正のニュースが読みやすくなります。

駅の電光掲示板で「快速」の文字を見て、「これって普通と何が違うの?追加でお金がかかる?急行より速いの?」と一瞬迷ったこと、ありませんか。結論から言うと、快速は一…
京都地区は2023年3月、岡山地区は2023年7月21日で終了
そして、とどめが2023年でした。京都地区(湖西線・草津線)の113系・117系は2023年3月18日のダイヤ改正で運用を終了し、ラストランは4月1日。緑一色の「京都地域色」をまとった編成が、多くのファンに見送られて姿を消しました。
最後まで残った岡山・備後エリアも、2023年7月21日で定期運用を終了。翌7月22日から新型の227系500番台「Urara」が運行を開始しました。227系は山陽本線(岡山〜三原)、宇野みなと線(茶屋町〜宇野)、瀬戸大橋線(岡山〜児島)、伯備線(倉敷〜総社)に導入されています。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2013年3月16日 | JR東海の117系が定期運用から離脱 |
| 2019年3月 | 和歌山線での運用が終了 |
| 2020年 | 「WEST EXPRESS 銀河」として6両が改造・デビュー |
| 2022年3月11日 | 快速「サンライナー」最終運転 |
| 2023年4月1日 | 京都地区(湖西線・草津線)でラストラン |
| 2023年7月21日 | 岡山・備後エリアで定期運用終了 |
| 2023年7月22日 | 227系500番台「Urara」が運行開始 |
今も117系に乗れる唯一の列車「WEST EXPRESS 銀河」の全貌
2020年に6両まるごと改造された、117系の第三の人生
結論から言うと、2026年8月現在、117系に乗れるのは「WEST EXPRESS 銀河」だけです。JR西日本が2020年に117系を改造して誕生させた6両編成の観光列車で、編成名は「M117編成」といいます。
改造の内容がなかなか大胆で、6号車寄りのドアを塞いで両開き1ドアに変更されています。もともと2扉だった117系が、さらに扉を減らして1扉になったわけです。乗り降りより車内空間を優先する、観光列車ならではの割り切りですね。
外観は深い瑠璃紺(るりこん)に塗られ、117系だと言われなければ気づかないほど雰囲気が変わっています。ただし足回りや車体の基本構造は117系のまま。40年以上前の国鉄形車両が、まったく別の姿で走り続けているというのは、鉄道車両の世界でもなかなかない話です。
💡 ヒント
銀河は全車にフリーWi-Fi・電源コンセント・大型荷物置場を備えています。夜行運転もあるので、スマホやモバイルバッテリーの充電を気にせず乗れるのは大きなポイントです。
1号車から6号車まで、全部タイプが違う
銀河の面白さは、6両すべてが異なる設備になっていること。号車を選ぶ時点で旅のスタイルが決まります。
🚆 WEST EXPRESS 銀河 号車ガイド
1号車 グリーン車指定席「ファーストシート」(夜行8名/昼行16名)
2号車 普通車指定席 リクライニングシート14名(一部女性席)+クシェット12名
3号車 フリースペース「明星」+リクライニングシート20名+ファミリーキャビン
4号車 フリースペース「遊星」(イベントスペース)
5号車 普通車指定席 クシェット18名(うち車いす対応席2席)
6号車 グリーン個室「プレミアルーム」+フリースペース「彗星」
1号車のファーストシートはボックス型に2席ずつを配置した構成で、折り畳みテーブル付き。夜行運転のときはベッド状に転換できます。定員が夜行8名・昼行16名と変わるのは、夜行では2席分を使って横になれるからです。
6号車のプレミアルームはグリーン個室で、複数名用が4室、1名用が1室。ベンチシートを斜めに配置した独特のレイアウトになっています。乗務員室側には眺望を楽しめるフリースペース「彗星」があります。
クシェットとファミリーキャビン、どっちが快適?
普通車指定席のなかで人気が分かれるのが、この2つです。クシェットは2号車に12名分、5号車に18名分(うち車いす対応席2席)が設けられた簡易寝台タイプの座席。横になって移動できるのに、追加のグリーン料金がかからないのが最大の魅力です。
ファミリーキャビンは3号車にある約5平方メートルの半個室で、定員は1室あたり3〜4名。ベンチシートを広げれば横になれる構造で、家族連れやグループ旅行に向いています。ただし2名以上での利用が条件になっているので、1人旅では選べません。
2号車のリクライニングシートには一部に女性席が設定されていて、同じ2号車には女性用更衣室もあります。夜行で長時間過ごすことを考えた設計です。5号車には車いす対応のトイレと洗面台も備えられています。
フリースペース「明星」「遊星」「彗星」の使い分け
銀河には座席以外のスペースが3か所あり、それぞれ性格が違います。3号車の「明星」は読書に向いた落ち着いた空間、4号車の「遊星」は将棋盤やチェス盤が刻まれたテーブルがあるイベントスペース、6号車の「彗星」は乗務員室側の眺望スペースです。
実用的なコツを挙げると、夜行の下り列車では深夜帯に「遊星」が空きやすくなります。逆に朝方、串本〜新宮あたりの海沿いを走る時間帯は「彗星」に人が集まります。景色を狙うなら、明るくなる前に場所を確保しておくのが有利です。
座席を離れて過ごせる場所がこれだけあるのは、6両編成のうち1両まるごとをフリースペースに充てているから。定員を削ってでも快適さを取る、という設計思想は117系デビュー時の「つり革なし」と通じるものがあります。
銀河のきっぷはいくら?8,670円から乗れる料金と予約の全手順

紀南コースは京都〜新宮で8,670円、山陽コースは12,950円
気になる料金です。紀南コース(京都〜新宮)のリクライニングシート・クシェットは、乗車券+指定席特急券の合計で8,670円(おとな1名)。山陽コース(京都〜下関)は12,950円(おとな1名・通常期)です。
この金額に驚く方が多いのですが、銀河は「特別料金の観光列車」ではなく、あくまで通常の乗車券+特急券で乗れる特急列車という位置づけ。だから寝台特急としては破格の値段になっています。クシェットで横になって移動できてこの金額、というのは他ではなかなかありません。
1号車のファーストシート(グリーン車指定席)を選ぶ場合は別途グリーン料金、6号車のプレミアルームは別途プレミアルーム料金が必要です。指定席特急料金は乗車日によって変動します。
| 比較項目 | 紀南コース | 山陽コース |
|---|---|---|
| 運行区間 | 京都〜新宮 | 京都〜下関(夜行) 広島〜下関(昼行) |
| リクライニング/クシェット | 8,670円(最安) | 12,950円 |
| ファーストシート | 上記+グリーン料金 | 上記+グリーン料金 |
| プレミアルーム | 上記+プレミアルーム料金 | 上記+プレミアルーム料金 |
※金額はおとな1名・通常期。詳細はJRおでかけネット「WEST EXPRESS 銀河」でご確認ください。
「豪華列車=数十万円」というイメージがある方は、四季島や瑞風の料金と比べてみると銀河の位置づけがよくわかります。

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風に乗ってみたいけど、料金っていくらなの?」と気になっていませんか?結論から言うと、1泊2日コースで1人あたり33.5万円…
予約は乗車1か月前の10時から、e5489が最短ルート
予約方法は3つあります。利用の1か月前の10:00からJR西日本ネット予約「e5489」で予約でき、全国の駅のみどりの窓口でも発売されます。加えて、tabiwaトラベルでは宿泊や観光とセットになった商品が限定発売されます。
公式サイトで運転日と運転区間を確認する
乗車日1か月前の10:00にe5489でアクセス
号車・座席タイプを選んで決済(カード決済またはコンビニ等での支払い)
駅の券売機やみどりの窓口できっぷを受け取る
実用的なコツを1つ。10:00ちょうどのアクセス集中を避けるには、事前にe5489の会員登録とログインを済ませ、乗車駅・降車駅・日付を入力した状態で待機しておくことです。決済手段も先に登録しておけば、操作時間を数十秒は短縮できます。
コースは3か月ごとに変わる|2026年の運行区間
銀河は季節ごとに走る場所が変わります。2026年は、4〜6月が山陰コース(京都〜出雲市)、7〜9月が紀南コース(京都〜新宮)、10〜12月が山陽コース(京都〜下関)の予定です。
紀南コースは2026年7月3日〜9月30日に週約2往復で運行されます。下りは夜行で京都21:13発、新大阪22:13、和歌山0:30、串本8:00を経て新宮9:35着。上りは昼行で新宮14:00発、串本15:07、白浜16:32、和歌山18:55〜19:05、京都20:53着というダイヤです。
運転日は月ごとのカレンダーで決まっていて、毎日走っているわけではありません。「今週末に乗ろう」と思っても運転日でなければ乗れないので、日程を決める前にJR西日本の運行情報ページで運転日を必ず確認してください。
コース変更のタイミングは公式のニュースリリースで発表されます。狙っているコースがある場合は、JR西日本のプレスリリースをチェックしておくと発売開始日を逃しません。
0番台と100番台の見分け方と、名車が引退した本当の理由
側窓が1段下降式なら100番台
117系には0番台と100番台(および200番台)があり、見分けるいちばん確実なポイントは側窓です。0番台は外はめ式のユニット構造でしたが、100・200番台では2列1組のバランサー付き1段下降式に変更されました。
1段下降式というのは、窓ガラスがストンと下に降りるタイプのこと。写真で見ると、0番台は窓の中央付近に横線が入っているのに対し、100番台はすっきりした一枚窓に見えます。この違いは遠目でもわかるので、保存車や写真を見るときの判別ポイントになります。
台車も変更されていて、0番台のDT32E・TR69Hに対し、100番台以降はボルスタレス式が採用されました。乗り心地や保守性の改善を狙った変更です。
内装にも違いがあります。100番台では座席がセミバケットタイプに変更され、床面の高さが4.5cmほど引き下げられました。セミバケットというのは、座面と背もたれに軽くくぼみを付けて体を支えるタイプの座席です。
床が低くなったのは、ホームとの段差を減らして乗り降りしやすくするため。わずか4.5cmですが、毎日乗る人にとっては効いてくる差です。またヒーターが吊り下げ式になり、足元がすっきりした点も100番台の特徴として挙げられます。
細かい話ですが、100番台では運転士側後部にも窓が設けられるなど、視界の確保にも手が入っています。同じ117系でも、後期車のほうが「使われ方を考えて改良された車両」だとわかります。
ロングシート化された300番台と、115系に化けた仲間たち
117系にはもう一つ、大きな改造グループがあります。300番台は1992年と1997年に58両が改造され、ロングシート化に対応しました。転換クロスシートが売りだった117系がロングシート対応に改造されたというのは、通勤輸送への適応を迫られた結果です。
さらに珍しいのが、余剰になった中間電動車から1992年に115系3500番台14両が改造されたケース。形式そのものが117系から115系へ変わってしまったわけで、車体は117系なのに形式は115系という不思議な車両でした。
🎯 見分けの裏ワザ
写真やSNSで「これ何番台?」と迷ったら、まず側窓を見てください。窓の中央に横のラインが入っていれば0番台、すっきり一枚に見えれば100番台以降。塗装が塗り替えられていても、窓の構造は変わらないので確実な判別ポイントになります。
2扉・つり革なしは、ラッシュでは完全に不利
117系が引退した理由として真っ先に挙げられるのが、2扉・つり革なしという設計が通勤時間帯に不向きだったことです。全員が座れる前提で作られた電車ですから、立ち客が増える時間帯では扉が少ないぶん乗降に時間がかかり、つり革がないので立っている人はつらい。
これは欠陥ではなく、設計思想がそもそも違ったということです。私鉄に勝つための快適さが、ラッシュ対応では逆に足かせになった。117系の魅力と弱点はコインの裏表でした。
置き換えを担った227系は3扉で、乗降時分を短縮できます。1駅あたり数秒の差でも、路線全体では大きなダイヤ上のメリットになります。
もう一つ大きかったのがバリアフリー対応です。現代の車両には車いすスペース、多目的トイレ、床とホームの段差解消といった要件が求められます。1979年設計の車体でこれらをすべて満たすのは、構造上どうしても無理がありました。
117系にもトイレの増設やバリアフリー対応の改造が行われた時期がありますが、根本的な解決には至りません。227系500番台「Urara」は最初から現代の基準に合わせて設計されているので、比べるまでもない、というのが実情です。
老朽化も当然あります。1986年製の最終グループでも製造から40年。鉄道車両の一般的な使用年数を考えれば、むしろよく走ったと言うべきでしょう。
やってしまいがちな誤解:「まだどこかで走っているはず」
もう一つよくある誤解が、「岡山に行けば黄色い117系が見られる」というもの。岡山エリアの黄色い国鉄形電車といえば115系のイメージが強いのですが、117系も同じ黄色に塗られていました。今その色で残る国鉄形は限られているので、「黄色い電車=117系」という判断は成り立ちません。国鉄形車両がどこに残っているかは、205系の現状も参考になります。

引退後も会える場所と、新快速のDNAを受け継いだ後継車たち
京都鉄道博物館にトップナンバーが保存されている
117系に「乗る」のは銀河だけですが、「会う」だけなら簡単です。京都鉄道博物館の引込線に、トップナンバーのクハ117形1号車が展示されています。解説では「京阪神地域のニーズに合わせて製造された直流近郊型電車」と紹介され、昭和54年・川崎重工業製と記されています。
同じ引込線には、寝台特急「トワイライトエクスプレス」のオハ25形551号車、急行用客車を軽量化したオハ46形13号車、展望デッキを備えたマイテ49形2号車も並んでいます。国鉄時代の名車が一列に並ぶ場所なので、117系だけを目当てに行っても十分楽しめる構成です。
| 所在地 | 京都府京都市下京区観喜寺町 |
| 最寄り駅 | JR嵯峨野線 梅小路京都西駅/JR京都駅から徒歩圏 |
| 117系の展示場所 | 引込線(クハ117形1号車) |
| 公式サイト | 京都鉄道博物館 引込線 展示車両紹介 |
銀河に乗るなら、京都駅から乗るのが正解
銀河は2026年の3コースすべてが京都駅を起点にしています。山陰コースは京都〜出雲市、紀南コースは京都〜新宮、山陽コースは京都〜下関という具合です。つまり京都駅は「117系に会える街」であり「117系に乗れる街」でもあります。
京都鉄道博物館でクハ117形1号車を見てから、夜に京都駅から銀河に乗る——という組み立てが、117系を1日で味わい尽くす最もぜいたくなルートです。紀南コースの下りは京都21:13発ですから、日中に博物館を回っても余裕で間に合います。
新快速の系譜は221系・223系・225系へ受け継がれた
117系が切り開いた「新快速に専用の快適な車両を投入する」という発想は、そのまま後継車に受け継がれました。221系、223系、225系と世代を重ねるたびに、転換クロスシートという基本フォーマットは維持されています。
今の新快速に乗って「普通の運賃なのに座席が快適だな」と感じたら、それは117系が1980年に作った流れの延長線上にあるということ。追加料金なしで転換クロスシートに座れる関西の新快速は、全国的に見てもかなり恵まれた環境です。
意外と知られていないのは、117系が「新快速のために新造された最初の車両」だという事実。それまでの新快速は新幹線開業で余った急行形車両の転用でした。今の京阪神の快適な新快速文化は、この1979年の決断から始まっています。
まとめ|117系はもう普通列車では乗れない、でも会いに行く方法はある
117系は、国鉄が私鉄との競争に本気で挑むために作った電車でした。転換クロスシートに木目調の内装、そしてつり革ゼロ。「座って快適に移動する」ことに全振りした設計は、1980年の京阪神で確かに支持を集めました。その思想は221系・223系・225系へと受け継がれ、今も関西の新快速文化を支えています。
一方で、その快適さと引き換えに手放したもの——2扉ゆえの乗降時分、つり革のない立席環境、バリアフリー対応の限界——が、最終的に引退の理由になりました。京都地区は2023年4月1日のラストランで、岡山・備後エリアは2023年7月21日で定期運用を終え、翌日から227系500番台「Urara」にバトンが渡されています。
それでも117系は消えていません。2020年に改造されたM117編成が「WEST EXPRESS 銀河」として走り続け、京都を起点に山陰・紀南・山陽の3コースを季節ごとに巡っています。乗車券+特急券の合計8,670円から乗れて、クシェットなら追加料金なしで横になれる。40年以上前の国鉄形車両で夜を越える体験は、今の日本ではここでしか味わえません。
次にやることは2つです。まずJRおでかけネットの「WEST EXPRESS 銀河」公式ページで、乗りたい時期のコースと運転日を確認してください。運転日が決まったら、その1か月前の10:00にe5489にログインして予約に臨みます。そして乗車当日は少し早めに京都駅へ向かい、京都鉄道博物館でクハ117形1号車に会ってから乗り込む。これが、117系という車両を最も深く味わえるコースです。
※料金・運転日・運行区間は変更される場合があります。最新情報はJR西日本のニュースリリースなど公式サイトでご確認ください。

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