「dd20」で検索して、なんだか話が噛み合わないと感じませんでしたか。あるページには「6両が現役で走っています」と書いてあるのに、別のページには「2両だけ作られて、もう1両も残っていません」と書いてある。どちらかが間違っているように見えますが、ぶっちゃけ、どちらも正しいんです。
結論から言うと、日本には「DD20」を名乗る機関車が2種類あります。ひとつは静岡県の大井川鐵道が持っている6両のディーゼル機関車。もうひとつは、国鉄が1960年代に2両だけ作って、そのまま消えていった試作的な機関車です。前者は今日も客車を引っぱって山を登っていますし、後者は写真でしか会えません。つまり「DD20に乗りたい」と思ったら、行き先は静岡県の山奥ひとつに絞られます。
この記事では、2つのDD20の違いをスペックの数字で並べたうえで、現役のDD20が牽く列車にどうやって乗るのかを、2026年7月に変わったばかりの新しい料金・予約ルールまで含めて整理します。運賃だけで乗れる列車が1日2本だけ残っているという、ちょっとした抜け道も後半で紹介します。
✅ この記事でわかること
✓ 大井川鐵道のDD20形と国鉄のDD20形、何がどう違うのか
✓ DD20が牽く列車の料金・予約方法(2026年7月改定の新ルール)
✓ 運賃だけで乗れる1日2本の列車と、その落とし穴
✓ 千頭駅までのアクセスと、2026年ならではの乗り換え事情
DD20には2つの顔がある:現役の6両と、消えた2両

検索結果が噛み合わないのは「同名の別形式」だから
鉄道車両の形式名は、国鉄・JRが使う番号体系と、私鉄が独自に付ける番号体系が併存しています。DD20はその衝突が起きた典型例で、国鉄が1963年に付けた「DD20形」と、大井川鐵道が1982年から使い始めた「DD20形」は、設計もメーカーも用途もまったく別物です。同じ名前なのに親戚ですらない、という関係になっています。
この2つを分ける一番わかりやすい基準は「大きさ」です。国鉄のDD20 1は全長11,200mm・運転整備重量55tという、いわゆる本線用の機関車サイズ。対して大井川鐵道のDD20形は全長8,700mm・運転整備重量20.0tで、軽自動車と大型トラックほどの差があります。写真を見比べたときに「あれ、思っていたより小さい」と感じたら、それは大井川鐵道のほうです。
検索するときのコツは、形式名だけで調べないこと。現役の車両を探しているなら「大井川鐵道 DD20」、国鉄時代の車両を調べたいなら「国鉄DD20形」と、頭に所属を付けるだけで結果が一気に整理されます。
大井川鐵道DD20形:6両全部にスイスと南アルプスの名前がついている
現役で走っているのはこちらです。大井川鐵道が1982年(昭和57年)に導入を開始し、1986年(昭和61年)までに6両がそろいました。製造したのは日本車輌製造で、機関は小松製作所・カミンズのNT-855L形、出力は335ps(2,100rpm)。軸配置はB-B、最高速度は40km/hです。
おもしろいのは、6両すべてに愛称が与えられていること。DD201が「ROT HORN」、DD202が「IKAWA」、DD203が「BRIENZ」、DD204が「SUMATA」、DD205が「AKAISHI」、DD206が「HIJIRI」。ROT HORNとBRIENZはスイスの山と湖の名前、IKAWA・SUMATA・AKAISHI・HIJIRIは井川・寸又峡・赤石岳・聖岳という地元の地名や南アルプスの山名です。スイスの名前が混ざっているのは、この路線がスイス生まれの「アプト式」という登坂方式を採用しているから。車両の名前ひとつに路線の性格が出ています。
導入のタイミングも3段階に分かれていて、DD201・DD202が1982年、DD203・DD204が1983年6月、DD205・DD206が1986年7月です。千頭駅で列車を待つときに機関車の番号を見れば、その車両がいつからここにいるのかがわかります。番号を控えておいて、帰りの列車と見比べてみるのも楽しみ方のひとつです。
DD20形は井川線の全列車の動力車です。つまり、この路線で走っている列車を見かけたら、先頭または最後尾にいるのは必ずDD20形。「今日はどの車両に当たるかな」ではなく「6両のうちどの子が来るかな」という楽しみ方になります。
国鉄DD20形:2両だけ作られて、1両も残らなかった
もう一方の国鉄DD20形は、汽車製造が手がけた2両だけの形式です。DD20 1は1963年製(製造番号2969)、DD20 2は1965年製(製造番号3127)。同じ形式なのに2両で仕様が違っていて、DD20 1は全長11,200mm・機関DML61S・出力1,000ps/1,500rpm・台車DT122、DD20 2は全長12,000mm・機関DML61Z・出力1,100ps/1,500rpm・台車DT131Aという構成でした。軸配置はどちらもBo-Boです。
経歴も対照的です。DD20 1は田端機関区に配置されて入れ換えに使われたあと、1971年に長岡機関区へ転属して除雪用に改造されました。DD20 2は製造当初から長岡機関区に配置され、DD53形と組む排雪列車で使われています。雪国で働く機関車として第二の人生を送った、という点は共通しています。
そして最後がシビアです。DD20 1は1986年に廃車となり1990年代に解体、DD20 2も1986年3月に廃車となって1988年11月に解体されました。保存車はなく、2両とも現存しません。「見に行ける場所」を探しているなら、残念ながらその場所は存在しない、というのが答えになります。だからこそ「DD20に会いたい」という検索意図は、自動的に大井川鐵道へ収束するわけです。
ディーゼル機関車という車両そのものの仕組みや、いま日本で会える現役形式を知りたい方は、こちらの記事も参考になります。

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【ガタンゴトン研究所調べ】2つのDD20を数字で並べる
言葉で説明するより、数字を並べたほうが差は一目瞭然です。公式資料と各車両の諸元をもとに、主要スペックを比較表にまとめました。
| 比較項目 | 大井川鐵道DD20形 | 国鉄DD20形 |
|---|---|---|
| 製造両数 | 6両(すべて現役) | 2両(現存せず) |
| 製造メーカー | 日本車輌製造 | 汽車製造 |
| 登場年 | 1982年(昭和57年) | 1963年/1965年 |
| 全長 | 8,700mm | 11,200mm/12,000mm |
| 機関出力 | 335ps | 1,000ps/1,100ps |
| 軸配置 | B-B | Bo-Bo |
| 最高速度 | 40km/h | 資料により記載なし |
| いま会えるか | 乗車も可能 | 不可(解体済み) |
出力の差が3倍以上あるのに、大井川鐵道のDD20形のほうが急な坂を登れるのは、路線の作りがまったく違うからです。その仕組みは後半で詳しく説明します。
DD20が牽く列車は、2026年7月にルールが丸ごと変わった
全列車が観光列車になり、片道3,500円の均一料金に
2026年7月1日から、DD20形が走る南アルプスあぷとライン(大井川鐵道井川線)は全列車が観光列車として運行しています。それに伴って料金体系も一新され、大人(12才以上)3,500円、小児(6才以上12才未満)1,750円の片道均一になりました。これは運賃ではなく「乗車区間にかかわらず片道一律の旅行商品代金」という扱いです。
ポイントは「区間にかかわらず」という部分。1駅だけ乗っても、千頭駅から終点の井川駅まで25.5kmを乗り通しても、支払う金額は同じ3,500円です。逆に言えば、乗り通したほうが1kmあたりの割安感は出ます。約2時間かけて全線を走る列車ですから、時間が許すなら終点まで行ったほうが料金の元は取りやすい設計になっています。
なお、幼児(1才以上6才未満)は大人または小児1名につき2名まで無料、乳児(1才未満)も無料です。小さな子ども2人を連れた大人1人なら、支払いは大人1名分の3,500円だけで済みます。家族連れにとっては見落とせない条件です。
予約は60日前から24時間受付、当日でも空席があれば買える
観光列車化にともなって、全列車が事前予約の座席定員制になりました。予約は専用予約サイトで、乗車日の60日前から当日の発車時刻まで24時間受け付けています。予約時には乗る列車を指定する必要があるので、「何時の列車に乗るか」を先に決めてから手続きする流れです。
とはいえ、当日思い立った場合も道は残されています。空席がある場合に限り、当日も駅窓口や車内で申し込みが可能です。平日や天候の悪い日は空席が出やすいので、直前でも諦める必要はありません。ただし紅葉シーズンの週末など、混み合う時期に賭けるのは分の悪い勝負になります。
💡 ヒント
この路線には電波が届かない区間があります。公式でも、乗車前に電子チケットのスクリーンショットを保存しておくことが推奨されています。山の中に入ってから画面が開けない、という事態を避けるために、千頭駅を出る前に保存を済ませておきましょう。
「列車指定制の自由席」=予約できれば必ず座れる
座席の扱いは少し変わっていて、公式の表現では「列車指定制の自由席」です。座席番号の指定はありませんが、定員を超える予約は受け付けないため、予約さえ取れれば必ず座れます。新幹線の自由席のように「乗ってみたら満席で立ちっぱなし」ということが起きない仕組みです。
座席番号が決まっていないということは、乗車後に席を選べるということでもあります。車窓の見どころは進行方向によって左右が変わるので、乗り込むタイミングを早めにして好みの側を確保するのが得策です。下り(千頭発)なら、ダム湖側の景色が開ける区間が多くなります。
始発駅の千頭駅は、観光列車5往復すべてが停車する6駅のひとつ。ここから乗れば列車選びの自由度が最も高くなります。
| 住所 | 静岡県榛原郡川根本町千頭1216-5 |
| 電話番号 | 0547-59-2065 |
| アクセス | 大井川本線と井川線が接続する駅で、南アルプスあぷとラインの起点 |
| 公式サイト | 公式サイト |
失敗パターン①:予約せずに千頭駅へ行って、その日は乗れなかった
2026年7月より前は、この路線は普通の鉄道と同じように、きっぷを買えばその場で乗れる路線でした。その記憶のまま出かけると痛い目を見ます。現在は全列車が予約制なので、満席の列車には当日申し込みができません。千頭駅までは大井川本線と町営バスを乗り継いで片道数時間かかりますから、「着いたけど乗れなかった」の損失はかなり大きくなります。
原因は情報の更新タイミングにあります。個人ブログや旅行サイトの記事は2026年7月より前に書かれたものが多く残っていて、そこには旧来の区間運賃や「予約不要」という記述がそのまま載っています。対策はシンプルで、出発前に公式の予約サイトで席の状況を確認し、可能なら事前に押さえておくこと。60日前から取れるので、旅程が決まった時点で先に確保してしまうのが安全です。
⚠️ 注意点
2026年7月1日より前の情報を載せたページには、区間運賃(片道160円〜1,340円)で乗れると書かれています。この運賃で乗れる列車は現在1日2本だけに限定されました。詳しくは次の章で説明します。
運賃だけで乗れる列車が、1日2本だけ残っている

402列車と405列車に連結される「一般車両」
観光列車化と聞くと「全部が高くなった」と思いがちですが、実は例外が用意されています。接岨峡温泉駅10:45発の上り始発列車(402列車)と、千頭駅14:35発の下り最終列車(405列車)には、運賃のみで乗れる予約不要の一般車両が連結されています。この2本だけは、従来どおりきっぷを買って乗ることができます。
この措置が残された背景には、沿線に暮らす人たちの移動手段という側面があります。大井川鐵道は同時に「井川線沿線住民パス」も発売していて、川根本町全域・静岡市井川地区の在住者が対象、2年間乗り降り自由で発行手数料は1,000円という設定です。観光路線に振り切りつつ、地元の足としての機能は最低限残す、という設計になっています。
🎯 裏ワザ
千頭駅14:35発の405列車なら、運賃だけでDD20形が牽く列車に乗れます。3,500円の予算が厳しいときや、とりあえず車両と雰囲気だけ味わいたいときの選択肢として覚えておくと便利です。ただし一般車両の連結には両数の制限があるため、確実性を求めるなら観光列車の予約が無難です。
区間運賃は160円〜1,340円、ただし行ける範囲に制限がある
この路線の区間運賃は、片道160円〜1,340円です。最も高い千頭駅〜井川駅間が1,340円で、観光列車の3,500円と比べると半額以下。数字だけ見ると圧倒的に安く見えます。
ところが、ここに大きな条件が付きます。一般車両が連結される402列車・405列車は、いずれも千頭駅と接岨峡温泉駅の間を走る列車です。つまり、接岨峡温泉駅から先の井川方面へは普通乗車券だけでは乗車できません。1,340円という運賃は制度としては残っていても、その区間を運賃だけで乗り通す手段は事実上なくなっている、というのが2026年8月時点の状況です。
実用的な使い方としては、千頭駅14:35発の405列車で接岨峡温泉駅まで運賃だけで移動し、そのまま温泉に泊まるルート。翌朝は接岨峡温泉駅10:45発の402列車で千頭駅へ戻れば、往復とも運賃だけで完結します。DD20形の走りとアプト区間の一部を、宿泊とセットで味わう組み立て方です。
失敗パターン②:普通乗車券で井川駅まで行こうとして止められた
安く乗る方法を調べた結果、「1,340円で千頭から井川まで行ける」という古い情報を信じて出かけてしまうケースがあります。実際には接岨峡温泉駅から先へは観光列車の旅行商品を買う必要があり、途中で足止めされることになります。山間部で代替の交通手段が乏しいエリアなので、リカバリーは簡単ではありません。
この失敗を避ける基準はひとつ、「井川駅まで行くなら3,500円を払う」と最初から割り切ることです。逆に予算を抑えたいなら、目的地を接岨峡温泉駅までに設定する。この線引きを出発前に決めておけば、現地で迷うことはなくなります。
90‰の坂は、機関車1両の力では登れない
アプト式とは「レールの真ん中の歯車」で登る仕組み
この路線の名物が、アプトいちしろ駅〜長島ダム駅間のアプト式区間です。静岡県の公式解説によれば、アプト式鉄道とは「2本のレールの真ん中に歯状レール(ラックレール)を敷き、機関車の床下に設けられた歯車(ピニオンギア)を噛み合わせて、急こう配の線路を登り降りする鉄道」のこと。摩擦だけに頼らず、歯車でがっちり噛んで登るわけです。
区間の距離は1.5km、最急勾配は90‰。1,000m進むあいだに90mを登る計算で、国内の普通鉄道では最も勾配が急な区間です。そして日本でアプト式鉄道が走っているのは、大井川鐵道のアプトいちしろ駅〜長島ダム駅間だけ。ここでしか体験できません。
この区間だけは直流1,500Vで電化されています。路線全体は非電化なのに、1.5kmの坂道のためだけに架線が張られている——というのが、この路線の構造を象徴しています。
ED90形が最後尾を押す。連結作業はホームで見られる
アプト区間では、DD20形の力だけでは足りません。公式の解説ページによると、この区間ではED90形アプト式電気機関車が補助機関車として列車の最後部に連結されます。日立製作所が手がけた3両(ED901・ED902・ED903)が在籍し、走行用のHS-22228形4個とラックギア駆動用2個、計6個の電動機を積んでいます。
乗客にとってうれしいのは、この連結・切り離し作業をホームから見学できること。アプトいちしろ駅と長島ダム駅で作業が行われ、その時間中は乗客がホームへ降りて間近で見学・撮影できます。ホームに降りてもチケットが無効になることはない、と公式に明記されているので安心してください。数分間とはいえ、機関車が連結される瞬間を目の前で見られる機会は、そう多くありません。
細かい話をすると、ED90形は3両とも汽笛の音が違います。ED901はスイス国鉄Ae4/7形が装備していたもの、ED902は名古屋鉄道モ1010形由来のドイツ製、ED903は日本製のクラリオンAW2形。連結作業のときに汽笛が鳴ったら、どの音か聞き分けてみるのも一興です。
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なぜここだけアプト式になったのか——長島ダムという事情
アプト式が導入されたのは1990年10月2日、長島ダム建設に伴う新線への付け替えと同時でした。ダムができると従来の路線が水没するため、線路を移す必要が生じたのです。しかも新しいルートはダムの上端まで一気に高さを稼がなければならず、短い区間で大きく登るという難題を突きつけられました。その解が、歯車で登るアプト式だったわけです。
つまりこの区間は、鉄道ファンを喜ばせるために作られた観光設備ではありません。ダム建設という土木事情から生まれた、きわめて実務的な選択の結果です。そう思って車窓を眺めると、線路脇に見える長島ダムの巨大な構造物の意味も変わって見えてきます。
路線そのものの歴史も古く、1935年3月20日に大井川電力の専用鉄道として開業し、1959年8月1日に地方鉄道化されました。もともとはダムや発電所の建設資材を運ぶための鉄道で、観光路線として整えられたのは後の話です。全長25.5km、14駅、軌間1,067mm、最高速度30km/hという規格は、その出自を色濃く残しています。
アプトいちしろ駅に到着。ED90形が最後部に連結される
90‰の坂を1.5km、DD20形とED90形の協力で登る
長島ダム駅でED90形を切り離し、再びDD20形だけの走行に戻る
実は最高速度40km/h——DD20は速さで勝負していない
意外と知られていないのですが、大井川鐵道DD20形の最高速度は40km/hしかありません。国鉄DD20形が1,000ps級の出力を持っていたのに対し、こちらは335ps。数字だけ見れば非力です。それでも90‰の坂を登れるのは、速さではなく、歯車と低速トルクで確実に登り切る設計に振り切っているからです。
しかも路線の最高速度は30km/hですから、車両の性能をフルに使う場面すらありません。25.5kmに約2時間かかる計算になりますが、これは遅いのではなく、そういう乗り物なのだと考えるほうが正確です。時速30kmという速度は、車窓の細部までしっかり目に入る速度でもあります。
「速い列車ほど偉い」という発想でこの路線に乗ると、たぶん退屈します。逆に「2時間かけて山を登るための乗り物」と割り切ると、途中の橋や湖の見え方が変わってきます。乗る前にこの前提を持っておくかどうかで、満足度がかなり変わる路線です。
千頭駅までどう行く?2026年は乗り換えが1回増える
新幹線+東海道線で金谷駅へ
DD20形に会うための玄関口は、JR東海道線の金谷駅です。JR東海の駅ガイドによれば、東側からは静岡駅から約31分、西側からは掛川駅から約14分。どちらも東海道新幹線が停まる駅なので、新幹線から在来線に乗り換えて向かう形になります。
JR金谷駅と大井川鐵道金谷駅は隣接しており、JR金谷駅改札口から徒歩1分です。ただしホームの一部が大井川鐵道金谷駅と接続している構造のため、乗車地点までホームを移動する必要があります。初めてだと少し戸惑いますが、案内表示に従えば迷うことはありません。
新幹線側の使い分けとしては、東京方面からなら静岡駅、名古屋方面からなら掛川駅が起点になります。掛川駅からのほうが在来線の乗車時間は短いので、西から向かう場合は時間が読みやすくなります。
東京から静岡方面へ新幹線で向かう場合の料金や列車選びは、こちらの記事にまとめています。

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大井川本線は川根温泉笹間渡駅まで。その先は町営バス
ここが2026年ならではの注意点です。大井川本線は現在、金谷駅〜川根温泉笹間渡駅間での運行にとどまっています。川根温泉笹間渡駅〜千頭駅間は2022年9月の台風15号による被害で不通のままで、2026年8月時点でも復旧していません。2025年3月28日の検討会で財政支援の枠組みが決まり、全線復旧の方針自体は固まっていますが、現時点では鉄道でそのまま千頭駅まで到達することはできません。
代替として、川根本町コミュニティーバス千頭・家山線が家山駅前から千頭駅前へ運行しています。川根本町の公式ページによると千頭・家山線と寸又峡線は年末年始を含めて毎日運行で、家山駅から千頭駅までの所要時間は約45分、運賃は500円ほどとされています。金谷駅から乗るなら大井川本線の運賃は金谷〜家山で大人830円・小児420円、新金谷駅から乗るなら大人690円・小児350円です。
結果として、金谷駅から千頭駅までは「大井川本線→家山駅でバスに乗り換え→千頭駅」という2段構えになります。バスの本数は鉄道ほど多くないので、井川線の乗車時刻から逆算して、余裕を持った便を選んでください。
失敗パターン③:SLに乗って千頭駅まで行けると思っていた
大井川鐵道といえばSLというイメージが強く、「SLで千頭駅まで行って、そこからトロッコ列車に乗り換える」という旅程を組む人がいます。これは以前は成立していたルートですが、不通区間がある現在は成立しません。SL・EL急行に乗っても、行けるのは川根温泉笹間渡駅までです。
SL・EL急行料金は乗車区間によらず大人1,500円・小児750円。金谷駅〜新金谷駅の相互発着に限り、立ち席承知のうえ運賃のみで利用できるという例外もあります。SL区間とトロッコ列車を1日で両方楽しみたいなら、SLは往復で味わってから改めてバスで千頭へ向かう、あるいは日程を2日に分ける、という組み立てになります。
対策としては、旅程を組む前に公式の運行情報ページで不通区間の最新状況を確認すること。復旧の方針は決まっているので、この状況はいずれ変わります。古い旅行記をそのまま真似しないことが、この路線では特に重要です。
不通区間があるため、金谷駅を朝に出発しても千頭駅到着は昼前後になります。千頭駅発の観光列車は9:15、10:05、12:20、13:35、14:35の5本。日帰りで往復するなら、どの便に間に合うかを先に確認してから予約を入れてください。
車で行くなら新金谷駅の駐車場が拠点になる
マイカーで向かう場合、拠点になるのが新金谷駅です。大井川鐵道の公式アクセス情報によれば、マイカー利用時の駐車料金は1日1,000円。SL・EL急行の始発駅でもあり、車両基地が併設された路線の中心的な駅です。
もっとも、千頭駅方面へ向かうなら車のままバス転換区間を走ることもできます。鉄道とバスを乗り継ぐ手間を省きたい場合は、千頭駅周辺まで車で入り、そこから井川線に乗るという選択肢もあります。どちらが快適かは、同行者の人数と運転の負担で決めるとよいでしょう。
| 住所 | 静岡県島田市金谷東二丁目1112番地 |
| 電話番号 | 0547-45-4112 |
| 営業時間 | 電話受付10:00〜17:00 |
| アクセス | JR東海道線金谷駅から大井川本線で1駅 |
| 駐車場 | あり(マイカー利用時は1日1,000円) |
| 公式サイト | 公式サイト |
車窓のハイライトは4つに集約される
湖に浮かぶように見える奥大井湖上駅
この路線で最も名前が知られているのが奥大井湖上駅です。1990年(平成2年)10月2日開業、標高490m、単式1面1線の無人駅。ペンシル状の半島に位置していて、両側にエメラルドグリーンの湖が広がり、駅そのものが湖に浮かんでいるように見えます。駅の前後を2本の鉄橋が挟む構造で、この橋は奥大井レインボーブリッジとも呼ばれています。
ここは観光列車5往復すべてが停車する6駅のひとつなので、どの便を選んでも通過してしまう心配はありません。駅で降りて次の列車を待つという使い方も可能です。ただし無人駅で商店の類もないため、飲み物や軽食は千頭駅で調達しておくのが賢明です。
駅を見下ろす展望所へ行きたい場合、川根本町の公式FAQによれば奥大井湖上駅から湖上駅展望所へは徒歩20〜30分程度。急な階段があり、手すりの使用と足下への注意が必要とされています。車で展望所側に停める場合も、駐車場と駅との間は片道15〜20分ほどかかります。あの有名な俯瞰写真を撮りたいなら、往復1時間近い山道を歩く覚悟が要る、ということです。
| 住所 | 静岡県榛原郡川根本町梅地 |
| アクセス | 南アルプスあぷとラインの停車駅(千頭駅から乗車) |
| 公式サイト | 公式サイト |
河床から70.8m、日本一高い鉄道橋の関の沢橋梁
もうひとつの見どころが関の沢橋梁です。尾盛駅〜閑蔵駅間に架かるこの橋は、河床からの高さが70.8mで、鉄道橋として日本一。公式の案内でも見どころとして紹介されており、列車は橋の上でゆっくりと走ります。
高さ70.8mというのは、ビルでいえば20階を超える水準です。しかもトロッコ列車の窓は開いているので、遮るものがない状態で真下の谷を覗き込むことになります。高所が苦手な方には正直きつい区間ですが、逆にそれが目当てで乗る人もいます。
撮影のコツとしては、橋に入る前からカメラを構えておくこと。徐行するとはいえ通過は短時間ですし、車内アナウンスが入ってから準備を始めると間に合いません。窓側の席を確保できているかどうかで、ここでの満足度が決まります。
尾盛駅——1日1往復しか停まらない、秘境駅ランキング2位
関の沢橋梁の手前にあるのが尾盛駅です。1954年(昭和29年)4月1日開業。駅周辺に民家は全くなく、駅に通じる公道も存在しません。かつての遊歩道も崩落箇所が多く廃道になっており、列車以外の手段では到達できない駅です。牛山隆信の秘境駅ランキングでは2位(2023年度)にランクインしています。
そして2026年7月の観光列車化で、この駅の停車本数は1日1往復にまで減りました。降りてしまうと次の列車まで長時間待つことになり、周囲に施設は何もありません。訪問を計画するなら、時刻表の確認は必須です。
現実的な楽しみ方は、車内から駅を眺めることでしょう。観光列車の5往復のうち多くは通過するので、停車する便に当たるかどうかも含めて、時刻表を読む楽しみがあります。全5往復が停車するのは千頭、奥泉、アプトいちしろ、長島ダム、奥大井湖上、接岨峡温泉の6駅のみで、1日1往復しか停車しない駅は7駅。14駅のうち半数が「めったに停まらない駅」という路線です。
井川駅——静岡県で最も高い場所にある鉄道駅
終点の井川駅は標高686mで、静岡県の鉄道駅では最も高い地点にあります。1959年(昭和34年)8月1日開業、現在は1面1線のホームを持つ地上駅です。駅の周辺には井川ダムと井川湖があり、井川ダム展示館は入館無料で見学できます。
千頭駅から約2時間かけてここまで来ると、空気の質感が変わっているのがわかります。標高686mというのは軽い高原の水準で、夏でも平地より涼しく感じられます。折り返しの列車まで時間があるなら、ダム展示館まで足を伸ばすのが定番の過ごし方です。
ただし注意したいのは、終点まで行く場合は必然的に観光列車の3,500円が必要になること。前章で触れたとおり、一般車両では接岨峡温泉駅より先へ行けません。井川駅を目的地に据えるなら、予算は片道3,500円の往復2回分を見込んでおきましょう。
標高490m。湖に浮かぶ無人駅
河床から70.8m。鉄道橋日本一
標高686m。静岡県で最も高い駅
タイプ別・この路線の乗り方
子連れなら「無料枠」と往復時間から逆算する
小さな子どもがいる家庭にとって、この路線の料金設定は意外と有利です。幼児(1才以上6才未満)は大人または小児1名につき2名まで無料、乳児(1才未満)も無料。大人2人と幼児2人の家族なら、支払いは大人3,500円が2名分だけで済みます。
一方で気をつけたいのが所要時間です。千頭駅から井川駅まで片道約2時間、往復すれば約4時間。これに金谷駅からのアクセスが加わります。未就学児にとって長い時間になるので、往路は井川駅まで行かず、奥大井湖上駅や接岨峡温泉駅で折り返す組み立てにすると負担が減ります。
座席は列車指定制の自由席で、予約が取れていれば必ず座れるのも子連れには心強い条件です。早めに乗り込んで、家族でまとまって座れる位置を確保しましょう。
写真を撮りたいなら、下り午前便+窓側を狙う
撮影目的なら、千頭駅9:15発または10:05発の午前便がおすすめです。山間部は午後になるほど谷側に影が落ちやすく、湖の色も光の角度で見え方が変わります。午前の早い便のほうが、奥大井湖上駅周辺の湖面を明るく撮りやすくなります。
撮影ポイントはアプトいちしろ駅と長島ダム駅での連結・切り離し作業、関の沢橋梁、そして奥大井湖上駅の3つ。連結作業はホームに降りて撮影できるので、DD20形とED90形が並ぶ構図を狙うならここが最大のチャンスです。
機材の面では、車内から撮る場合に窓枠が入り込みやすいので、広角側に余裕のあるレンズがあると扱いやすくなります。電波が届かない区間があることも踏まえ、クラウド保存に頼らずカメラ側の容量を確保しておくと安心です。
時間が限られる人・車両重視の人はどう組むか
滞在時間が限られているなら、全線を乗り通さずに折り返す判断もありです。料金は区間にかかわらず片道3,500円なので、短い区間で降りると割高にはなりますが、アプト式区間と奥大井湖上駅は千頭駅から片道1時間程度の範囲に収まっています。この路線の見どころは前半に集中している、というのが実情です。
逆にDD20形という車両そのものが目当てなら、始発駅の千頭駅での滞在時間を長めに取るのが正解です。ここは観光列車5往復すべてが発着する駅なので、待っていれば複数の車両が入れ替わりで現れます。6両のうち何番に会えるかは運次第ですが、番号と愛称を照合しながら待つ時間は、車両好きにとって退屈しないはずです。
予算を抑えたい場合は、前述の千頭駅14:35発・405列車の一般車両を使う手があります。運賃だけでDD20形が牽く列車に乗れるという点で、費用対効果は高い選択です。
🔵 しっかり味わいたい人
千頭駅9:15発で井川駅まで乗り通し、ダム展示館を見て折り返す。往復とも大人3,500円ずつ、丸1日の行程になります。
🟠 効率よく見どころだけ
アプト区間と奥大井湖上駅までで折り返す。片道3,500円は同額ですが、半日で主要な見どころを押さえられます。
まとめ:現役機に会いに行くなら、行き先は静岡県の山奥ひとつ
あらためて整理すると、国鉄DD20形は1963年と1965年に1両ずつ作られた2両だけの形式で、どちらも1986年に廃車、その後解体されて現存しません。一方、大井川鐵道DD20形は1982年から1986年にかけて6両が導入され、いまも南アルプスあぷとラインの全列車を牽いています。「DD20を見たい・乗りたい」という願いを叶えられるのは、静岡県の大井川上流だけ、というのが結論です。
乗り方の面では、2026年7月1日の観光列車化が最大の変更点でした。全列車が事前予約の座席定員制になり、料金は区間にかかわらず大人3,500円・小児1,750円の均一。予約は乗車日の60日前から当日の発車時刻まで24時間受け付けており、当日でも空席があれば駅窓口や車内で申し込めます。予約さえ取れれば必ず座れる仕組みなので、混雑で立ちっぱなしになる心配はありません。
そして覚えておきたいのが、接岨峡温泉駅10:45発の402列車と千頭駅14:35発の405列車に連結される一般車両。この2本だけは運賃のみ・予約不要で乗車できます。ただし接岨峡温泉駅から先の井川方面へは普通乗車券では行けないため、井川駅まで行くなら3,500円を払う前提で計画してください。アクセス面では、川根温泉笹間渡駅〜千頭駅間が不通のため、家山駅から町営バスへの乗り換えが1回加わる点も要注意です。
最初の一歩としておすすめしたいのは、公式の予約サイトで千頭駅発の5本(9:15、10:05、12:20、13:35、14:35)の空席状況をのぞいてみることです。乗りたい便が見えれば、そこから逆算して新幹線と町営バスの時刻を埋めていくだけで旅程は組み上がります。
※料金・ダイヤ・運行状況は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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