「EF510」って調べてみたら、赤い機関車の写真と青い機関車の写真と銀色の機関車の写真が全部出てきて、混乱していませんか。結論から言うと、EF510はぜんぶ同じ形式で、番台(バリエーション)が3つあるから色が3種類あるだけです。赤が0番台、青と銀が500番台、そして九州にいるシルバーが300番台。しかも青い500番台は、もともとJR貨物の機関車ですらありませんでした。寝台特急「北斗星」を引くためにJR東日本が1両約4億円かけて新造したのに、わずか5年で仕事を失い、まるごとJR貨物に売られた——そんな数奇な経歴の持ち主です。この記事では、EF510の基本スペックから番台ごとの見分け方、どこに何両いるのか、どの区間を走っているのかまで、写真が撮れる場所も含めてまとめて整理します。
✅ この記事でわかること
✓ EF510の基本スペックと「交直流両用」がなぜ強いのか
✓ 赤・青・銀の3色を一瞬で見分ける方法と番台別の両数
✓ 元「北斗星」牽引機・500番台がJR貨物に渡るまでの経緯
✓ 富山と門司、EF510に会える2つの拠点と走る区間
EF510とはどんな機関車?3,390kWで交流も直流も走れる万能機

まずはEF510という機関車の正体から。ひとことで言えば「日本の電化区間ならどこでも走れるように作られた、JR貨物の主力電気機関車」です。2001年12月に1号機が完成し、2002年から営業運転に入りました。製造は車体が川崎重工業、電気品が三菱電機という組み合わせです。
「EF」の2文字だけで、この機関車の中身がわかる
EF510の「E」は電気機関車(Electric)、「F」は動軸が6軸あることを表しています。日本の機関車の形式記号は、アルファベットが動軸の本数を示すルールで、A=1軸、B=2軸、C=3軸、D=4軸、E=5軸、F=6軸という並びです。つまりEF510は6つの動輪すべてにモーターが入った、重量級の貨物機ということになります。
軸配置は専門的な書き方だと「Bo-Bo-Bo」。2軸の台車を3つ並べた構成で、それぞれの車軸が独立してモーターを持ちます。カーブの多い日本の路線で長い車体を無理なく通すための、貨物機関車の定番レイアウトです。運転整備重量は100.8トン。乗用車70台ぶんくらいの重さが6軸に分散して線路を押さえつけているから、重い貨物列車を引き出せるわけですね。
ちなみに「510」の数字にも意味があって、百の位の「5」は最高速度が時速100km以上の高速形であることを示しています。実際、EF510の最高運転速度は時速110kmです。

通勤電車の側面に書かれた「クハE235-1」みたいな文字列、意味不明ですよね。ぶっちゃけ、あれは暗号でもなんでもなくて、読み方さえ知っていれば「この車両には運転…
3,390kWという出力は、実際どれくらいの力なのか
EF510の1時間定格出力は3,390kW。馬力に直すと約4,550馬力です。一般的な乗用車が100〜200馬力なので、単純計算で乗用車20台以上ぶんの出力を1両で出していることになります。引張力は199kN(キロニュートン)で、これは静止状態から1,000トン級の貨物列車を動かし出すための数字です。
この出力が効いてくるのが、日本海縦貫線の勾配区間です。EF510が主に走る大阪〜青森のルートには、北陸や羽越の峠越え区間が点在します。従来この区間を担っていたEF81形は1時間定格出力2,550kWだったので、EF510への置き換えで出力は約1.3倍になりました。牽引できるトン数が増える、あるいは同じトン数ならダイヤに余裕が出る、という直接的なメリットにつながっています。
主電動機はFMT4形を6台、歯車比は5.13(82対16)。歯車比が大きいほど加速寄り・牽引力寄りのセッティングになるので、EF510は速度よりも「重いものを確実に引き出す」方向に振ってある機関車だと読み取れます。
EF510の車体サイズは全長19.8m・幅2.97m・高さ4.28m。20m級の通勤電車1両とほぼ同じ長さの箱に、100トン超の機器が詰まっています。旅客電車1両(約30〜40トン)の3倍近い重さで、これが「機関車は重い」と言われる理由です。
交流も直流も走れるから、機関車を付け替えなくていい
EF510の最大の武器は、直流1,500Vと交流20,000V(50Hz/60Hz両対応)のどちらでも走れる「交直流両用」であることです。日本の電化方式は地域によってバラバラで、たとえば日本海縦貫線を大阪から青森まで通ると、直流→交流60Hz→直流→交流50Hzと何度も切り替わります。
直流専用機だけで運行しようとすると、電化方式が変わる境界の駅で機関車を丸ごと交換しなければなりません。1回の付け替えに数十分かかるうえ、交換用の機関車と乗務員を各地に配置する必要があります。EF510はこの手間をまるごと消せる機関車で、しかも50Hzと60Hzの周波数の違いも自動で吸収します。長距離の直通貨物列車が組める最大の理由がここにあります。
交直の切替は「デッドセクション」と呼ばれる無電区間を惰性で通過する間に行われます。乗客がいないので気づかれにくいのですが、貨物列車を線路際で見ていると、境界付近で一瞬パンタグラフ周辺の音が変わることがあります。
愛称は「ECO-POWER レッドサンダー」
EF510には「ECO-POWER レッドサンダー」という愛称がついています。車体側面に大きくロゴが入っているので、走ってくる機関車を見れば読み取れます。これはJR貨物が同時期に投入したEH200形の愛称「ECO-POWER ブルーサンダー」と対になるネーミングです。ブルーサンダーが中央本線・上越線の勾配区間用の直流機、レッドサンダーが日本海縦貫線用の交直流機、という役割分担になっています。
「ECO-POWER」の部分は、回生ブレーキによる省エネ性能を打ち出したものです。回生ブレーキはブレーキをかけたときにモーターを発電機として使い、生まれた電力を架線に戻すしくみ。下り勾配の多い区間ではこの効果が大きく、機関車の消費電力を実質的に下げられます。
面白いのは、後述する九州向けの300番台がシルバーの車体なのに、愛称は「レッドサンダー」のまま引き継いでいる点です。赤くないレッドサンダー。形式としての一体感を優先した結果ですが、初見だと確実に混乱するポイントですね。
赤・青・銀の3色はどう違う?番台別の見分け方を整理
ここが検索して一番混乱するところです。EF510には0番台・500番台・300番台という3つのグループがあり、それぞれ色も出自もまったく違います。番号を見れば一発でわかるので、覚え方を整理しておきましょう。
0番台(1〜23号機)——赤い「本家」レッドサンダー
EF510の基本形が0番台です。1〜23号機の23両が、2001年から2013年にかけて製造されました。配置は全車が富山機関区。車体は上部が朱赤色、下部が灰色というツートンで、これが「レッドサンダー」の名前の由来になっています。
0番台が投入された目的は、日本海縦貫線で長年活躍してきたEF81形の置き換えです。EF81は1968年から製造された国鉄型の交直流機で、EF510が登場するころには老朽化が進んでいました。0番台は12年かけて少しずつ増備されたため、初期の先行量産機と後期の量産機では細部の仕様が異なります。
見分けのコツは、とにかく「赤ければ0番台」。番号も1〜23の2桁以下なので、ナンバープレートが読めればさらに確実です。
500番台(501〜515号機)——青と銀、2つの顔をもつ15両
500番台は501〜515号機の15両。2009年から2010年にかけて製造されました。ここが特殊なのは、発注したのがJR貨物ではなくJR東日本だったという点です。寝台特急「北斗星」「カシオペア」を牽引するために新造され、当初は田端運転所に配置されていました。
塗色は2種類あります。13両が「北斗星色」で、濃い青地に金色の帯と流星のマークが入ったデザイン。残る509・510号機の2両が「カシオペア色」で、シルバーメタリックの車体に虹色のラインが入っていました。旅客会社の機関車らしく、貨物機とは明らかに雰囲気の違う仕上げです。
寝台特急の廃止後、15両はすべてJR貨物へ渡り、現在は0番台と同じ富山機関区で貨物列車を引いています。JR貨物への譲渡時に側面の流星マークと「EAST JAPAN RAILWAY COMPANY」のロゴは消され、カシオペア色の2両は前面の虹色ラインのステッカーも外されました。それでも車体色そのものは青と銀のままなので、貨物列車の先頭に青い機関車が立っている光景が今も見られます。
⚠️ よくある誤解:「青いEF510=寝台列車が来る」ではない
北斗星色の500番台を見つけて「寝台特急が来る!」と身構えると、後ろにつながっているのはコンテナ貨車です。北斗星は2015年8月22日に運行を終えており、500番台は現在すべて貨物運用。青い機関車+青い客車の組み合わせは、定期列車としてはもう見られません。
300番台(301号機〜)——九州で走るシルバーの新顔
3つ目のグループが、九州向けの300番台です。301号機が2021年3月に完成し、同年12月9日に報道公開されました。営業運用に入ったのは2023年2月25日です。配置は福岡県の門司機関区で、九州島内の鹿児島本線・日豊本線・長崎本線などで貨物列車を引いています。
車体はシルバーを基調に、下部に濃紺、そして赤のアクセントラインが入るデザイン。0番台・500番台とは前照灯も異なり、従来のシールドビームからLEDに変わりました。制御面では交流回生ブレーキを装備しており、交流電化区間でも回生の効果を得られるようになっています。
投入の目的は、九州で長く使われてきたED76形とEF81形の置き換えです。JR貨物は最終的に17両体制で置き換える計画を公表しており、2023年12月には量産7両を新製することが明らかにされました。詳細はJR貨物公式サイトのニュースリリースで公開されています。
3番台を一枚で見分ける早見表
| 番台 | 車体色 | 両数 | 配置 | 製造年 |
|---|---|---|---|---|
| 0番台(1〜23) | 赤+灰 | 23両 | 富山機関区 | 2001〜2013年 |
| 500番台(501〜515) | 青+金帯/銀(2両) | 15両 | 富山機関区 | 2009〜2010年 |
| 300番台(301〜) | 銀+赤ライン+濃紺 | 17両体制の計画 | 門司機関区 | 2021年〜 |
※ガタンゴトン研究所調べ。300番台は増備が進行中のため、在籍数は時期によって変わります。
元「北斗星」牽引機・500番台がたどった数奇な運命

EF510の話でいちばん語られるのが、500番台の経歴です。旅客会社が大金をかけて新造した機関車が、10年も経たずにまるごと貨物会社へ移った——鉄道車両としてはかなり珍しいケースです。
JR東日本が1両約4億円かけて新造した理由
2009年当時、上野〜札幌を結ぶ寝台特急「北斗星」「カシオペア」の本州側を牽引していたのは、田端運転所のEF81形でした。ところがEF81は1968年から製造された形式で、当時すでに車齢40年前後。長距離の夜行列車を確実に走らせるには、機関車の信頼性が最優先です。
そこでJR東日本は、すでにJR貨物で実績のあったEF510をベースに、旅客用の装備を追加した500番台を発注しました。価格は1両あたり約4億円。旅客列車を引くため、JR東日本の保安装置であるATS-Pを搭載しています。設計を一から起こさず、実績のある貨物機をベースにしたことで、開発コストと投入までの時間を圧縮した形です。
カシオペアの牽引開始は2010年6月25日、北斗星の牽引開始は2010年7月14日。青い機関車が青い客車を引く「ブルートレイン」の完成形として、当時大きな話題になりました。
寝台特急の牽引は、わずか5年で終わった
ところが2015年8月22日、北斗星が運行を終了します。牽引開始から5年ちょっと。北海道新幹線の開業準備に伴い、青函トンネルの電圧切替や設備工事が進んだことが背景にあり、在来線の長距離夜行列車が走り続けられる環境ではなくなっていきました。
結果として、北斗星・カシオペア専用に近い形で作られた500番台15両は、一気に仕事を失います。新造からわずか5年で余剰になった機関車を、JR東日本がそのまま持ち続ける理由はありませんでした。
「カシオペアがなくなったから500番台が余った」と説明されることがありますが、順序としては逆です。北斗星の運行終了(2015年8月22日)が直接のきっかけで、それ以前の2013年から譲渡はすでに始まっていました。
2013年から2016年、3年がかりで移籍が完了
JR貨物への移籍は一度にではなく、段階的に進みました。まず2013年に501〜508号機と511号機の8両が譲渡され、続いて2015年12月に512・513・515号機の3両、2016年2月に514号機、そして2016年3月にカシオペア色の509・510号機が最後に移り、15両すべての移籍が完了しています。
3年がかりになったのは、寝台特急の運行を続けながら、余った機関車から順に手放していったためです。最後まで残った509・510号機はカシオペア色の2両で、運行終了後に無動力回送という形で送られました。自力走行せず、別の機関車に引かれて移動する回送方法です。
移籍後の500番台は、富山機関区で0番台と共通の運用に就いています。つまり、青い車体の機関車も赤い車体の機関車も、貨物列車の運用上は完全に同格。どの列車にどの色が入るかは日によって変わります。
今も車体に残る「消された跡」を探してみる
500番台をじっくり見ると、JR東日本時代の名残がいくつか読み取れます。譲渡時に側面の流星マークと「EAST JAPAN RAILWAY COMPANY」のロゴは消され、カシオペア色の509・510号機は前面の虹色ラインのステッカーも外されました。ただし、車体の地色そのものは塗り替えられていません。
だから今でも、コンテナ貨車の先頭に濃紺に金帯の機関車が立っているという、本来ならありえない組み合わせが見られます。撮影する側からすると、赤い0番台よりも希少な当たりカット。線路際で待っていて青い機関車が来たら、それは元・北斗星牽引機だと思って間違いありません。
🎯 見分けの裏ワザ
500番台のなかでも509号機と510号機はカシオペア色(シルバー)の2両だけ。ただし九州の300番台もシルバーです。判別は簡単で、走っている場所を見ればOK。銀色の機関車が日本海側や関西・中京にいれば500番台、九州にいれば300番台です。
九州の銀色機関車はなぜシルバーなのか
300番台のシルバーには、はっきりした理由があります。「新型だから未来的な色にした」ではなく、九州の機関車の伝統をなぞったデザインなんです。
「銀釜」——関門トンネルを守ってきた無塗装ステンレス機の系譜
鉄道ファンのあいだで「銀釜(ぎんがま)」と呼ばれてきた機関車があります。「釜」は機関車を指す俗称で、銀色の機関車という意味です。代表がEF30形と、EF81形300番台。どちらも車体が無塗装のステンレスでできていて、独特の銀色をしていました。
なぜステンレスだったかというと、本州と九州を結ぶ関門トンネルの環境が過酷だからです。海底トンネルは海水がしみ出す湿気の多い環境で、普通の鋼製車体だと腐食が進みます。そこで錆びにくいステンレス車体の専用機が投入されました。銀色は見た目のためではなく、必然だったわけですね。
300番台のシルバー塗装は、この「銀釜」の伝統を受け継ぐものとして選ばれました。300番台自体は塗装によるシルバーで、ステンレス無塗装ではありませんが、九州で貨物を引く機関車の系譜を色で示したデザインになっています。「銀釜スピリットを受け継ぐ機関車」と紹介されるのはこのためです。

「415系ってまだ走ってるの?」——検索してここにたどり着いた方は、たぶんそこが一番知りたいところだと思います。結論から言うと、2026年8月現在も走っています…
ED76形とEF81形を置き換える17両体制の計画
300番台の投入目的は、九州で使われてきたED76形とEF81形の置き換えです。ED76は国鉄時代に九州向けとして作られた交流電気機関車、EF81は前述の交直流機で、いずれも老朽化が進んでいました。
JR貨物は最終的に17両体制で置き換える計画を示しており、2023年12月には量産7両を新製することを公表しています。同じタイミングで、東海道・山陽本線を中心に運用されるEF210形300番代の8両増備も発表されました。機関車を計画的に世代交代させていく流れの一環です。
301号機の落成は2021年3月、報道公開が同年12月9日、営業運用開始が2023年2月25日。試作的な先行車で運用実績を積んでから量産に移すという、慎重な進め方をしています。公式の詳細はJR貨物「九州向けEF510形式交直流電気機関車」報道発表資料で確認できます。
2025年3月のダイヤ改正で、九州の赤い電機は定期運用を終えた
置き換えは着実に進み、2025年3月15日のダイヤ改正で、鹿児島本線鳥栖以南と長崎本線におけるED76形・EF81形の運用がEF510形300番台に引き継がれました。門司機関区のEF81形は、この改正をもって定期の貨物運用を終えています。
数字で見ると変化がはっきりします。門司機関区には2020年ごろに約15両のEF81形が在籍していましたが、2024年末時点で残っていたのは7両程度。約4年で半分以下になった計算です。国鉄型の交流機・交直流機が九州の第一線から退いた、大きな節目でした。
置き換えが完了した区間では、貨物列車の先頭に立つのはシルバーのEF510です。九州で貨物列車を撮るなら、赤いED76やEF81が写る写真はもう定期列車では撮れない——そう思って予定を組んだほうがいいでしょう。
LEDライトと交流回生ブレーキ、九州仕様ならではの装備
300番台は色だけでなく中身も0番台・500番台と違います。まず前照灯が、従来のシールドビームからLEDに変更されました。消費電力と交換頻度を下げつつ、明るさを確保する狙いです。夜間に正面から見たときの光り方が違うので、暗いうちからホームで待っていても番台の判別ができます。
もうひとつが交流回生ブレーキです。回生ブレーキは減速時に発電した電力を架線へ返すしくみですが、交流電化区間で回生を成立させるには変換の工夫が必要になります。300番台はこれに対応し、九州の交流区間でも省エネ効果を得られる設計になりました。「ECO-POWER」を名乗る機関車として、九州向けでも省エネ性能を落とさない構成です。
そのほか、車体の下部を濃紺でまとめることで、汚れが目立ちにくく引き締まって見えるデザインになっています。シルバー一色ではなく赤のアクセントラインを残したのは、「レッドサンダー」という愛称を維持したためと考えられます。
EF510に会える場所は?富山と門司、2つの拠点
EF510を見に行きたいなら、拠点は2か所です。0番台と500番台が集まる富山機関区、そして300番台の門司機関区。それぞれ性格が違うので、目的に合わせて選びましょう。
富山機関区——赤と青が38両集まる本拠地
0番台23両と500番台15両、合計38両すべてが所属するのが富山機関区です。あいの風とやま鉄道線の富山貨物駅構内にあり、赤いレッドサンダーと青い元・北斗星牽引機が同じ場所に並ぶ、EF510のいちばん濃い拠点になっています。
担当する運用は、日本海縦貫線のほぼ全線。吹田貨物ターミナル駅から青森信号場までの長距離を、この38両でまわしています。日中は運用に出ている車両が多いので、区内に何両いるかは時間帯によって変わります。
| 所在地 | 富山県富山市新冨居 |
| 路線 | あいの風とやま鉄道線(富山貨物駅構内) |
| 配置車両 | EF510形0番台23両・500番台15両(計38両) |
| 公式サイト | 日本貨物鉄道株式会社(JR貨物) |
門司機関区——シルバーの300番台が集まる九州の玄関
九州側の拠点が門司機関区です。福岡県北九州市門司区大里新町、北九州貨物ターミナル駅の構内にあります。ここに300番台が配置され、鹿児島本線・日豊本線・長崎本線の貨物列車を担当しています。
門司機関区は、置き換えの現場としても注目されてきた場所です。JR貨物九州支社は2024年5月に「今しかできないEF510形式300番代大集結!in門司機関区」というイベントを開催しており、複数の300番台が並ぶ機会が公式に設けられました。こうした撮影会はJR貨物のTOPICSページで告知されるので、九州で確実に撮りたいならイベント情報を追うのが近道です。
| 所在地 | 福岡県北九州市門司区大里新町11番1号 |
| 路線 | 鹿児島本線(北九州貨物ターミナル駅構内) |
| 配置車両 | EF510形300番台(17両体制で整備中) |
| 公式サイト | 日本貨物鉄道株式会社(JR貨物) |
見学・撮影で守りたい最低限のルール
機関区も貨物駅も、鉄道会社の業務用施設です。公道や公共スペースから見る・撮るぶんには問題ありませんが、敷地内は当然立入禁止。フェンスを越える、線路に近づく、脚立で塀の内側をのぞくといった行為は、安全面でも法律面でもアウトです。
貨物駅の周辺はトラックの出入りが多いのも特徴です。コンテナを積んだ大型車が頻繁に通る道路で立ち止まると、ドライバーからは見えにくい位置に入ってしまうことがあります。歩道のある側から、車両の動線を塞がない場所で見るのが基本です。
💡 確実に見たいなら公式イベントを狙う
JR貨物は機関区の公開イベントや撮影会を不定期に開催しています。柵の外から遠目に見るのと、構内で正面から撮れるのとでは満足度がまったく違います。イベント情報はJR貨物公式サイトのお知らせページに掲載されるので、遠征を計画する前にチェックしておくと無駄足を減らせます。
走る区間は青森から大阪まで1,000km超
EF510の運用範囲は、日本の在来線貨物のなかでも長距離の部類です。どこを走っているかを知っておくと、旅行や出張のついでに見かける確率が上がります。
日本海縦貫線——吹田貨物ターミナルから青森信号場まで
0番台・500番台の主戦場が日本海縦貫線です。富山機関区が担当するのは、吹田貨物ターミナル駅(大阪府)から青森信号場(青森県)までの全線。東海道本線・北陸本線・信越本線・羽越本線・奥羽本線をまたぐ長大ルートで、日本海側を縦断します。
この区間を機関車の付け替えなしで走り通せるのが、交直流両用機であるEF510の存在意義です。実際、日本海縦貫線を全線通して走る貨物列車は、EF510が牽引しています。「日本海側の貨物=EF510」と覚えておけば、ほぼ外しません。
途中の主要停車地には、金沢貨物ターミナル、富山貨物、新潟貨物ターミナル、秋田貨物などが並びます。旅客列車と違って停車パターンが読みにくいので、線路際で待つなら市販の貨物時刻表を用意すると効率が上がります。
関西・中京・山陽へ、じわじわ広がった運用範囲
EF510の運用は、日本海縦貫線だけにとどまりません。2012年3月17日のダイヤ改正で、城東貨物線経由で百済貨物ターミナル駅(大阪市)までの運用が始まりました。その後さらに広がり、岡山貨物ターミナル駅、名古屋貨物ターミナル駅への乗り入れも行われています。中央本線の多治見駅まで入る運用も設定されました。
これは「日本海側専用機」というイメージからすると意外な広がりです。交直流両用で走れる区間の制約が少ないぶん、車両の稼働率を上げる方向で運用が組まれていった結果と言えます。
裏を返すと、名古屋や岡山で貨物列車を眺めていて赤い機関車が来たら、それはEF510かもしれない、ということです。関西・中京エリアの貨物駅周辺は、日本海側まで足を運ばなくてもEF510に会えるポイントになっています。

「ディーゼル機関車って、結局なにが電車と違うの?」——ひらがなで「ディーゼル きかんしゃ」と検索した人が知りたいのは、たぶんそこですよね。結論から言うと、ディー…
九州の300番台は鹿児島本線・日豊本線・長崎本線
300番台の運用範囲は九州島内です。門司機関区を拠点に、鹿児島本線・日豊本線・長崎本線で貨物列車を引いています。301号機は量産に先立って日豊本線で運用され、その実績をもとに量産車が投入されました。
2025年3月15日のダイヤ改正では、鹿児島本線鳥栖以南と長崎本線の運用が300番台に引き継がれています。九州の貨物列車の顔が、赤い国鉄型からシルバーのEF510へ入れ替わったタイミングです。
北九州貨物ターミナル駅周辺は、関門トンネルを抜けてくる列車と九州島内の列車が交わる場所。機関車の交代が見られるエリアでもあるので、複数形式をまとめて観察したいならこのあたりが濃いポイントになります。
いつ来るかを調べるなら、貨物時刻表と運用情報
貨物列車は旅客列車と違い、駅の時刻表には載りません。ホームの発車標にも出ないので、「なんとなく駅で待つ」だと空振りになりがちです。
確実性を上げる方法は2つあります。ひとつは市販の貨物時刻表を使うこと。ダイヤ改正ごとに刊行され、貨物列車の時刻と牽引区間がまとめられています。もうひとつは、ファンが日々の運用実績を持ち寄っている運用情報サイトを参照すること。「今日は何号機がどの列車に入ったか」という情報が共有されており、番台を狙い撃ちしたいときに役立ちます。
📝 EF510を狙うときの準備リスト
- 市販の貨物時刻表で、その区間を通る列車の時刻を確認する
- 運用情報サイトで、狙う番台が今どこにいるかを把握する
- ダイヤ改正の直後は運用が変わるので、古い情報を信じない
- 貨物列車は遅延しやすい。前後1時間は余裕を見ておく
- 撮影地は公道・公共スペースから。敷地内は立入禁止
知っておくと見方が変わる、EF510の意外な事実
ここまでの内容を踏まえて、勘違いしやすいポイントと、知っておくと面白い話をまとめます。
誤解その1「EF510はぜんぶ赤い」
いちばん多い誤解がこれです。「レッドサンダー=赤い機関車」というイメージが強いので、青や銀のEF510を見ると別形式だと思ってしまいます。実際には、赤いのは0番台23両だけ。500番台15両は青(13両)と銀(2両)で、300番台はシルバーです。
数のうえでは、富山機関区の38両のうち赤は23両。つまり日本海縦貫線でEF510を待っていても、4割近い確率で赤くない機関車が来ます。「赤くないからEF510じゃない」と判断すると取り逃がすので、番号を確認するクセをつけておくと確実です。
誤解その2「JR貨物が最初から全部作った」
もうひとつの誤解が、500番台の出自です。今はJR貨物の機関車なので、当然JR貨物が発注したと思われがちですが、500番台15両を新造したのはJR東日本でした。寝台特急牽引用として1両約4億円で製造され、田端運転所に配置されていた機関車です。
だから500番台には、貨物専用機なら不要な旅客列車向けの装備が載っています。ATS-Pの搭載もそのひとつです。同じ形式でも、生まれた目的が違うと中身が違う——EF510はそれがはっきり表れている形式です。
実は——「レッドサンダー」なのに赤くない機関車がいる
知っておくと面白いのが、愛称と色のねじれです。九州の300番台は、車体がシルバーなのに愛称は0番台・500番台と同じ「ECO-POWER レッドサンダー」を名乗っています。赤くないレッドサンダー、というわけです。
しかもシルバーを選んだ理由が、九州で親しまれた「銀釜」——EF30形やEF81形300番台といった無塗装ステンレスの機関車の系譜を継ぐため。関門トンネルの湿気に耐えるために必然的にステンレスだった機関車の色が、時代を越えてデザインとして受け継がれた形です。実用上の必要から生まれた色が伝統になる、鉄道車両らしいエピソードだと思います。
ついでに言うと、赤のアクセントラインが車体に残っているのは、この「レッドサンダー」との整合を取ったからと考えられます。銀の車体に赤いライン、下部は濃紺。3色を使い分けた、EF510のなかでもいちばん凝った塗り分けです。
シーン別・EF510の楽しみ方
目的によって、行くべき場所と時期が変わります。整理しておきましょう。
日本海縦貫線沿線。両数が最多の0番台23両が対象なので遭遇しやすい
同じく日本海縦貫線。運用情報サイトで500番台の当日運用を確認してから動く
九州の鹿児島本線・日豊本線・長崎本線。公式イベント開催時が確実
家族連れで「機関車を見せたい」なら、貨物駅の外周から複数形式が停まっている様子を眺めるのが手軽です。逆に、特定の番号を狙う本気モードなら、貨物時刻表と運用情報の併用が前提になります。平日と休日で運休する貨物列車があるので、遠征前には運転日も確認しておきましょう。
まとめ:EF510は「3つの顔」で日本の物流を支える機関車
EF510を理解するカギは、「番台ごとに生まれた理由が違う」という点に尽きます。0番台は日本海縦貫線のEF81形を置き換えるためにJR貨物が作った機関車。500番台は寝台特急「北斗星」「カシオペア」を引くためにJR東日本が1両約4億円で新造し、2015年8月22日の北斗星運行終了で行き場を失って、2013年から2016年にかけてJR貨物へ移った機関車。そして300番台は、九州のED76形・EF81形を置き換えるために2021年から投入が始まった、シルバーの新世代機です。
3つに共通するのは、直流1,500Vと交流20,000V(50Hz/60Hz)のどちらでも走れる交直流両用であること。これによって、機関車を途中で付け替えることなく、吹田貨物ターミナル駅から青森信号場までの日本海縦貫線を一気に走り通せます。100.8トンの車体と3,390kWの出力で1,000km超のルートを支える、物流の裏方です。
2025年3月15日のダイヤ改正で九州のED76形・EF81形の運用がEF510形300番台に引き継がれ、国鉄型からの世代交代がひとつの区切りを迎えました。今この形式を追いかけるなら、まずは市販の貨物時刻表を1冊手に入れて、自分の行動範囲を通る貨物列車の時刻を調べてみてください。日本海側なら赤と青、九州なら銀。番号を確認するクセをつければ、通りすぎる貨物列車の見え方が変わります。JR貨物の公式サイトでは機関区の公開イベントも告知されるので、確実に間近で見たい場合はそちらもあわせてチェックしておくと計画が立てやすくなります。
※本記事の車両情報・運用区間は公開資料をもとにまとめたものです。車両の配置や運用はダイヤ改正・増備の進行によって変わるため、最新情報はJR貨物公式サイトでご確認ください。

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